【為替デリバティブ】TARF(ターフ、ターゲットリデンプションフォワード)とは

こちらもおすすめ

【随時更新】通貨オプションのプライシングを勉強するのにおすすめの本:4冊 | Quant College

金融工学の独学におすすめの本24選【初心者でもわかりやすい教科書】 | Quant College

金融工学関連でおすすめの本:まとめ(目次) | Quant College

QuantLib-Pythonチュートリアル(スワップイールドカーブ編その4)をリリースしました。 | Quant College

【大幅改定】LIBOR廃止とRFR移行の体系的まとめ(前編) | Quant College

LIBOR廃止とRFR移行のまとめ(後編)をリリースしました。 | Quant College

【初心者向けにわかりやすく解説】CVA入門の体系的まとめ | Quant College

TARF関連記事

TARFとは:コイン投げのたとえ話でざっくり理解

通貨オプションを組み込んだ、複雑な為替系デリバティブで有名なものにTARF(ターフ)がある。FX TARFとも呼ぶ。これはTarget Redemption Forward(ターゲットリデンプションフォワード)の略で、商品性は、正確ではないが、ざっくりとしたイメージは次のような感じだ。

  • コインを投げてが出れば、銀行が顧客に100万円支払う。
  • が出れば、顧客が銀行に200万円支払う。
  • これを10回繰り返す。
  • ただし、表が累積で5回出たら、そこで取引を終了する

もちろん、実際にはコイン投げではなく、将来の為替レートが行使レートを上回るかどうかで判定する

よくあるのは、ドル円が円安に行くと顧客が受け取り、円高に行くと顧客がその2倍を支払う、というようなものだ。

為替レートと行使レートの差を累積していき、所定のレートを超えたら取引を早期終了する(その後はドルと円の交換は行われない)。

銀行としては顧客に払う総額の上限が低く決まっている(銀行が5回負けたら早期終了する)。これに対して、顧客としては、最悪全部負け続ければ10回負けることになる(顧客が5回負けても取引続行されるので、満期まで負け続ける可能性がある)。しかも、一回の受け払いでは、顧客の支払額にレバレッジがかかっており、負けたときの損失は明らかに顧客の方が大きい(銀行が負けたら一回につき100万円支払うが、顧客が負けたら一回につき200万円支払わないといけない)。

取引条件の例

より実際の取引に近い例は、

  • 3月、6月、9月、12月のスポット末日に
  • 1,000万円を支払い、10万ドルを受け取る(交換レート100円/ドル)
  • これを5年間繰り返す(20回受け払いする)
  • ただし交換日の10営業日前に観測された為替レートが交換レートを超えていれば、為替レートと交換レートの差分を累積値に加える
  • 累積値が20を超えたらそれ以降の交換は行わず、契約が早期終了する(ターゲットノックアウト条項)

という感じである。

どの満期においても為替予約の交換レートは一定(100円/ドル)になっている契約である(このような契約をフラット為替クーポンスワップと呼ぶ)。
【為替デリバティブ】フラット為替・フラット予約の仕組みとは?為替予約、クーポンスワップとの違いは? | Quant College
【簡単にわかりやすく】クーポンスワップとは:仕組み、メリット、リスクは? | Quant College

20個の為替予約をひとまとめにして、その全体にターゲットノックアウト条項が付いている。予約レートより円安に行った場合は、何円だけ円安に行ったかを累積していき、累積値が所定の値を超えたらそこで早期終了となる。

市場実勢が円安に行ってくれたほうが、支払う円の金額が市場実勢よりも安く済むため、TARFの買い手にとってお得である。しかし、予約レートよりも円安の状態が続くと、ターゲットノックアウト条項にヒットして契約自体が早期終了してしまう。

このように、ターゲットノックアウト条項は、TARFの買い手にとってのメリットを打ち消すものであり、不利な条項なので、そのデメリットを打ち消すだけのメリットを与えるために、予約レートは買い手にとって有利なレートにすることができる

ここで、ターフは名前に「フォワード」が付いているが、正確には、顧客の支払額にレバレッジがあるので、フォワードにはなっていない
もしレバレッジがなければ、顧客から見てコールオプションの買いとプットオプションの売りが同額になっていることから、実質的にフォワードと同じ、つまりシンセティックフォワードになる
【為替デリバティブ】シンセティックフォワードとは(マルチシンセティックフォワードとは)【オプションを使うメリット】 | Quant College
それに対して、ターフのようにレバレッジが付いているフォワードのことをレシオフォワードと呼ぶことがある。
【簡単にわかりやすく】レシオフォワードとは:レバレッジをかけたクーポンスワップ | Quant College
【為替デリバティブ】レシオフォワードのプライシング(時価評価/価格計算)方法 | Quant College

参考文献

FX Barrier Options: A Comprehensive Guide for Industry Quants (Applied Quantitative Finance) (English Edition)

FX Options and Structured Products (The Wiley Finance Series) (English Edition)

Foreign Exchange Option Pricing: A Practitioner’s Guide (The Wiley Finance Series Book 626) (English Edition)

TARF関連記事

あわせて読みたい

ノックアウトオプションとは:メリット、デメリット、リスク、プライシング(時価評価) | Quant College

【わかりやすく】ゼロコストオプションとは?リスクリバーサルやゼロコストカラーとの違い【為替オプション】 | Quant College

【簡単にわかりやすく】レシオフォワードとは:レバレッジをかけたクーポンスワップ | Quant College

【為替デリバティブの仕組み】ギャップオプションとは【簡単にわかりやすく】 | Quant College

為替予約レートの決まり方/計算方法 | Quant College

為替予約と通貨オプションの違い | Quant College

通貨スワップとは(クロスカレンシースワップとは)【仕組みを簡単にわかりやすく】 | Quant College

【簡単にわかりやすく】クーポンスワップとは:仕組み、メリット、リスクは? | Quant College

通貨オプションとクーポンスワップの違い | Quant College

通貨スワップと為替予約の違い【わかりやすい解説】 | Quant College

為替予約を時価評価する方法は? | Quant College

クロスカレンシースワップを時価評価する方法は? | Quant College

クーポンスワップの時価評価(価格計算/プライシング)方法 | Quant College

通貨オプションのプライシング(時価評価、価格計算)方法は? | Quant College

バリアオプションのプライシング(時価評価、価格計算):4つの方法 | Quant College

【仕組債の仕組みとカラクリ】パワーリバースデュアルカレンシー債(PRDC債)の時価評価方法 | Quant College

こちらもおすすめ

【随時更新】通貨オプションのプライシングを勉強するのにおすすめの本:4冊 | Quant College

金融工学の独学におすすめの本24選【初心者でもわかりやすい教科書】 | Quant College

金融工学関連でおすすめの本:まとめ(目次) | Quant College

QuantLib-Pythonチュートリアル(スワップイールドカーブ編その4)をリリースしました。 | Quant College

【大幅改定】LIBOR廃止とRFR移行の体系的まとめ(前編) | Quant College

LIBOR廃止とRFR移行のまとめ(後編)をリリースしました。 | Quant College

【初心者向けにわかりやすく解説】CVA入門の体系的まとめ | Quant College