目次
こちらもおすすめ
【随時更新】通貨オプションのプライシングを勉強するのにおすすめの本:4冊 | Quant College
金融工学・デリバティブを勉強するのにおすすめの本:初心者向けの7冊 | Quant College
金融工学関連でおすすめの本:まとめ(目次) | Quant College
【大幅改定】LIBOR廃止とRFR移行の体系的まとめ(前編) | Quant College
LIBOR廃止とRFR移行のまとめ(後編)をリリースしました。 | Quant College
【初心者向け】CVAの体系的まとめnote | Quant College
ギャップオプションとは
ギャップオプションは、為替デリバティブによく組み込まれている。
例えば、満期でドル円が95円より下回っていると、
100円からドル円レートを引いたものがペイオフになる
というようなオプションをギャップオプションという。この場合、
- 95円をストライク
- 100円をセカンドストライク
などといったりする。
ストライクは教科書では行使価格や行使レートなどと呼ばれる。
ストライク95円とセカンドストライク100円の違いは以下の通り。
- 95円はペイオフを発生させるかどうかを決めるトリガー
- 100円はペイオフがいくらになるかを決めるストライク
上の例では、ストライクとセカンドストライクが95円と100円で異なっている。このように、ストライクとセカンドストライクに差がある(ギャップがある)オプションをギャップオプションという。
バニラオプションとギャップオプションの違い
普通のバニラオプションであれば、
満期でドル円が100円(ストライク)より下回っていると、
100円(セカンドストライク)からドル円レートを引いたものがペイオフになる。
これはストライクとセカンドストライクが一致しているのでギャップオプションではなく、単なるバニラオプション(バニラプットオプション)である。
バニラのプットと対比すればわかりやすいが、
ギャップオプションとはつまり、ある程度深くまでインザマネーにならないと、ペイオフが発生しないようなオプションだ。
逆にいうと、いったんペイオフが発生する領域に入ると、ペイオフはいきなり大きな金額が生じることになる。
ギャップオプションのプライシング(時価評価)
ギャップオプションはバニラオプションとデジタルオプションを合わせたものなので、プライシングは容易である。
デジタルオプション(バイナリーオプション)とは | Quant College
はじめの例であれば、
- 95円ストライクのバニラプット
- 95円ストライク、ペイオフ5円のデジタルプット
の組み合わせである。
デジタルオプションは実務では、
- ストライクを少しだけずらしたバニラオプションのスプレッド
として評価するため、バニラオプションのプライサーを2回まわせばよい。
デジタルオプション(バイナリーオプション)のプライシング(時価評価、価格計算方法): レプリケーション(複製)法 | Quant College
したがって、1つ目のバニラと合わせて、バニラを3つプライシングすれば、ギャップオプションの評価となる。
ヨーロピアンバリアのノックインオプション
人によっては、上記のギャップオプションの例で言うと、
- 95円をノックインバリア
- 100円をストライク
とするヨーロピアンバリアのノックインプットオプション、と書いているケースもあるが、ギャップオプションと同じものを指している。
ここで、ヨーロピアンバリアとは、満期の1時点のみでバリアを観測する、ということである。
満期でノックインしたのでプットオプションが発生した、と考えるわけだ。
為替ターフ (FX TARF) との関係
ギャップオプションはよく為替ターフという商品のプットオプションのサイドに用いられている。
【為替デリバティブ】FX TARF(ターフ、ターゲットリデンプションフォワード)とはどんな商品か | Quant College
【為替デリバティブ】FX TARF(ターフ、ターゲットリデンプションフォワード)の具体的な商品性 | Quant College
ドル円がある程度まで下落しないと、顧客の負け分がペイオフとして実現しないのだが、ひとたびペイオフが発生すると、大きな負け分が発生することになる。
参考文献
FX Barrier Options: A Comprehensive Guide for Industry Quants (Applied Quantitative Finance) (English Edition) FX Options and Structured Products (The Wiley Finance Series) (English Edition) Foreign Exchange Option Pricing: A Practitioner’s Guide (The Wiley Finance Series Book 626) (English Edition)あわせて読みたい
【簡単にわかりやすく】クーポンスワップとは:仕組み、メリット、リスクは? | Quant College
クーポンスワップの時価評価(価格計算/プライシング)方法 | Quant College
【為替デリバティブ】ノックアウトクーポンスワップとターフ(TARF)の違い | Quant College
【簡単にわかりやすく】ゼロコストオプションとは【為替デリバティブ】 | Quant College
【為替デリバティブ】シンセティックフォワードとは(マルチシンセティックフォワードとは)【オプションを使うメリット】 | Quant College
【簡単にわかりやすく】レシオフォワードとは:レバレッジをかけたクーポンスワップ | Quant College
【簡単にわかりやすく解説】為替オプションのリスクリバーサルとバタフライの意味とは? | Quant College
通貨オプションのプライシング(時価評価、価格計算)方法は? | Quant College
【仕組債の仕組みとカラクリ】パワーリバースデュアルカレンシー債(PRDC債)とは | Quant College
こちらもおすすめ
【随時更新】通貨オプションのプライシングを勉強するのにおすすめの本:4冊 | Quant College
金融工学・デリバティブを勉強するのにおすすめの本:初心者向けの7冊 | Quant College
金融工学関連でおすすめの本:まとめ(目次) | Quant College
【大幅改定】LIBOR廃止とRFR移行の体系的まとめ(前編) | Quant College