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回答
コールオプションとプットオプションの組み合わせでフォワード契約を再現した商品である。シンセティックとは合成や人工という意味があり、シンセティックフォワードは合成フォワードとも呼ばれる。また、シンセティックフォワードは通常、多数のシンセティックフォワードをまとめて一度に契約するため、マルチシンセティックフォワードとも呼ぶ。
同じ原資産、同じストライク、同じ満期のコールとプットを以下のように組み合わせる。
・コールの買い+プットの売り=フォワードの買い
または
・コールの売り+プットの買い=フォワードの売り
このイコール(=)はどこから来るかというと、プットコールパリティである。上記の式はプットコールパリティそのものになっている。
直観的には、フォワードの買いの場合を考えると、コールの買いとプットの売りなので、
・原資産価格がストライクより低い場合は、相手がプットを権利行使するので、オプションのペイオフを支払う
・原資産価格がストライクより高い場合は、自分がコールを権利行使するので、オプションのペイオフを受け取る
ということになり、結局のところ通常のフォワードの買いと同じペイオフになることがわかる。
通常のフォワードとの違い
通常のフォワード契約と異なるところは以下の通り。
- 取引開始時に、コールとプットのプレミアムを相殺したネットのプレミアムを受け払いする必要がある
- 複数のフォワード契約をひとまとめにして一括取引することが多い(マルチシンセティックフォワードとも呼ぶ)
ゼロコストオプション
一つ目のネットプレミアムの受け払いについては、実際にはこれがゼロになるように取引条件を調整することが多い。通常のフォワード契約であれば取引開始時にプレミアムの受け払いは不要であり、特に顧客が金融機関に支払うサイドになると、顧客からすれば取引する気にはならないだろう。そういうわけで、コールとプットのネットプレミアムがゼロになるように取引条件を調整したシンセティックフォワードのことを、ゼロコストオプションということもある。タダで取引ができるということもあり、「タダより安いものはない」と言ってこのような商品に飛びついてしまう顧客もいるかもしれない。
フラット為替・包括的長期為替予約・クーポンスワップとの関係
二つ目の、「複数のフォワード契約をひとまとめにして一括取引する」という点については、このような取引を、
・為替デスクの人はフラット為替(会計系の人は包括的長期為替予約)という。
・金利デスクの人はクーポンスワップということもある。
多くの場合、取引の頻度は月いちであり、毎月同じ日を満期日とする為替フォワードたちをまとめて、一括取引する。
さらに、ひとまとめにされた為替フォワード全体に対して、ターゲットノックアウト条項が付けられることもある。その場合は、TARFやFX TARFと呼ばれる。顧客に対しては「特約付き為替予約」や「特約付きクーポンスワップ」という、いわば「とっつきやすい」名前を付けてTARFを売っている場合が多い。
参考文献
FX Barrier Options: A Comprehensive Guide for Industry Quants (Applied Quantitative Finance) (English Edition)あわせて読みたい
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