オプションの教科書では決まって出てくるプットコールパリティだが、何に使うのか。
まず、プットコールパリティとは要するに、
コールオプション価格ープットオプション価格
=フォワードのロングの価格
ということである。
ここで、原資産や満期、ストライクなどの条件はコール、プット、フォワードで同じとする。
このとき、感覚としては、原資産がどう動こうが、
・コールがインザマネーのときは、プットはアウトオブザマネー
・プットがインザマネーのときは、コールはアウトオブザマネー
だから、コールとプットを両方持っていれば、
・必ずどちらかがインザマネーになり、
・必ずどちらかからフォワードのペイオフが生じる、
というわけである。
このようにコールオプションの買いと売りでフォワード取引が作れるが、これをシンセティックフォワードと呼ぶことがある。
ちなみにシンセティックフォワードは、TARFというメジャーな為替エキゾチック商品の祖先である。
上記のプットコールパリティは、数式的には
max(S – K, 0) – max(K – S)
=S – K
という式が基礎になっているが、
まだ実務を知らない学生にとっては、だから何なのか、と思ってしまうかもしれない。
プットコールパリティの使い道は、たとえば以下である。
⑴エキゾチックなどのプライシングで、プログラムのテスト時に、コールとプットをプライシングして、プットコールパリティが成り立っているかを確認する
⑵コールオプションの評価式のみをプログラミングして、プットオプションはプットコールパリティから逆算する
⑶信頼できるフォワードレートを市場から取得しにくいが、バニラオプション価格は取得できる場合に、フォワードレートを逆算するのに用いる
⑶について、よくあるのは、エクイティとコモディティである。それぞれ、
・エクイティは、離散配当やレポレートの取り扱いが各社各様になっている問題
・コモディティは、コンビニエンスイールドの取り扱いが各社各様になっている問題
があり、バニラオプション価格からフォワードを直接求める、というのを行うことがある。
—–