デリバティブ手数料の決済方法

金融機関は顧客との間でデリバティブ取引を行うときに手数料を取っている。

教科書に出てくる数式で計算しているのは、あくまでデリバティブの理論価格であって、実際の取引価格ではない。
イメージとしては、理論価格には材料費しか入っておらず、取引コスト、労務費や経費、金融機関の利益は入っていない。取引コストとはいわゆるビッドアスクスプレッドであり、市場で取引するにあたって避けられないコストだ。
この、取引コスト、労務費、経費、金融機関の利益を1つにまとめて、対顧ざやとして顧客から徴収している。これが手数料にあたる。
 
手数料の受け取り方はだいたい4パターンある。
 
パターン1
スワップレートなどの取引条件に織り込む
 
これは金利スワップや通貨スワップ、エキゾチック商品に多いが、デリバティブで最も多いのはこのパターンだ。
要するに、手数料の分だけ顧客にとって不利な条件で取引をスタートするのである。
顧客にとってはマイナスからのスタートになる。
金融機関にとっては利益が出ている状態からスタートするが、この利益をDay1PLということがある。
 
パターン2
オプションプレミアムに上乗せして約定日のスポットに受け取る
 
これは為替や株式のバニラオプションに多い。このように約定日のスポット日に決済するプレミアムを、スポットプレミアムという。
このオプションプレミアムに手数料を上乗せして受け取ることで、利益になる。
 
パターン3
オプションプレミアムに上乗せして権利行使日のスポットに受け取る
 
これはスワップションに多い。このように権利行使日のスポット日に決済するプレミアムを、フォワードプレミアムという。
 
パターン4
オプションプレミアムに上乗せして分割払いで受け取る
 
これはキャップやフロアに多い。キャップはキャップレットのポートフォリオであり、フロアはフロアレットのポートフォリオである。
ひとつひとつのキャップレットが決済されるのに合わせて、オプションプレミアムを分割払いで受け取る。
このオプションプレミアムに手数料を上乗せして受け取ることで、利益になる。

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