オプション市場でクォートされているボラティリティはバニラオプションのインプライドボラティリティである。
インプライドボラティリティというのは、市場価格を、もし仮にブラックショールズモデルで評価したとしたら、どれくらいのボラティリティに相当するか、を逆算したものだ。
つまり、順番としては、先にボラティリティが決まって市場価格が決まるのではなく、その逆で、先に市場価格が決まってからボラティリティが後から決まる。
確かに、マーケットボラティリティから市場価格を復元する際には、ブラックショールズ式を用いるのだが、だからといって、得られた一連の市場価格がブラックショールズモデルと整合的になっているわけではない。ストライクによってボラティリティが異なるからだ。これはつまり原資産が対数正規分布に従っていないことを意味するため、ブラックショールズモデルの仮定に反する。
マーケットボラティリティは市場価格を提示する際に用いられる単位の1つとして理解すべきだ。マーケットボラティリティはすでにそれ自体が価格を表しているのである。
価格の単位にはドルや円やユーロなど多数あるわけだが、これらは金額ベースの単位である。オプション市場では金額ベースの単位ではなくて、ボラティリティ単位で価格を表すのである。
ボラティリティの他には、価格が想定元本の何ベーシスポイントか、という単位で表すこともある。
これはエキゾチックオプションの場合によく使われる単位である。なぜなら、ほとんどのエキゾチックオプションはそもそもブラックショールズモデルで評価できないからだ。
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