オプションのアットザマネー (At The Money; ATM) とは?プレミアムの価値、デルタ、タイムバリュー(時間的価値、時間価値)との関係

こちらもおすすめ

金融工学関連でおすすめの本:まとめ(目次) | Quant College

【初心者向け】LIBOR廃止とRFR移行の体系的まとめ | Quant College

【初心者向け】CVA入門の体系的まとめ | Quant College

【初心者向け】CVAモデルの体系的まとめ | Quant College

概要を簡単にわかりやすく

オプションにおけるアットザマネーとは基本的に、仮に権利行使してもペイオフの受け払いが発生しない状態のことをいう。正確性を気にせずざっくり言うなら、原資産価格と権利行使価格が一致している、ということである。

しかし細かく言うと、この「原資産価格」が何を意味しているかが重要だ。
上で言う「原資産価格」は、スポット価格ではなくフォワード価格を使ったほうが理論的に正確である。なぜなら権利行使価格はあくまでオプション満期における価格を意味しているが、スポット価格は今日における価格を意味しており、異なる時点で価格を比較しているからだ。

しかし株式オプションではアットザマネーというとき、権利行使価格がスポット価格に一致しているオプションを指す。これは理論的に正確ではないが、言葉づかいの慣行(ならわし、決まり事)としてそういうことになっている。

アットザマネーに関連する用語として、インザマネー (In The Money; ITM) とアウトオブザマネー (Out of The Money; OTM) というのもある。

  • インザマネーは、仮に権利行使したら勝ち分が受け取れる状態
  • アウトオブザマネーは、権利行使するメリットがないので権利行使せず、何も受け取れない状態

である。
【簡単にわかりやすく】オプションのインザマネーとアウトオブザマネーとは?イントリンシックバリューとタイムバリューとの関係 | Quant College

プレミアム、イントリンシックバリュー(本源的価値、本質的価値)、タイムバリュー(時間的価値、時間価値)との関係

行使価格がアットザマネーのオプションは最もメジャーで流動性の多いオプションである。

オプション価格のことをプレミアムというが、プレミアムの金額は2つの部分に分解できる。
・イントリンシックバリュー(本源的価値、本質的価値)
・タイムバリュー(時間的価値、時間価値)

アウトオブザマネーの場合、イントリンシックバリューはゼロであり、プレミアム=タイムバリュー、となる。

ぴったりアットザマネーの場合も、イントリンシックバリューはゼロであり、プレミアム=タイムバリューとなるが、アウトオブザマネーに比べてインザマネーの方がタイムバリューが大きい。実際、アットザマネーのオプションは、タイムバリューが最大になるオプションである。

インザマネーの場合もタイムバリューはゼロではないが、インザマネーになればなるほど、プレミアムに占めるタイムバリューの割合が下がっていく代わりに、イントリンシックバリューの割合が上がっていく。インザマネーということはすぐに権利行使したらキャッシュフローが得られるので、インザマネーになればなるほど、イントリンシックバリューが大きくなっていくからだ。

注意:アットザマネーの定義はアセットクラスによって違う

オプションの行使価格(ストライク)は定義の仕方がアセットクラスごとに違うので注意が必要だ。

ATMストライクの定義

  • 金利:フォワード
  • 株式:スポット
  • 為替:通貨ペア、満期、デルタの定義、の組み合わせによって異なる

・スポットとは今日観測される原資産価格
・フォワードとは、将来に観測される原資産価格の期待値
である。フォワードは期待値だがこの期待値は市場で観測されるスワップやフォワードの価格から逆算することができる。

金利オプション(キャップ/フロア、スワップション)の場合、アットザマネーはフォワードであり、アットザマネーフォワード (ATMF) と呼ばれる。つまり満期に応じたフォワードレートを行使レートとするオプションがアットザマネーオプションである。

株式オプションの場合、アットザマネーはスポットである。つまり今日観測される株価を行使価格とするオプションがアットザマネーオプションである。

為替オプションの場合、満期によって異なる。満期が長いオプションはアットザマネーがフォワードである。満期が短いオプションはデルタニュートラルなストライクがアットザマネーである。また、エマージング通貨を含む通貨ペアの場合は、満期によらずアットザマネーフォワードとなる。さらに、満期が短いオプションの「デルタニュートラル」の定義で用いられる「デルタ」の定義が、通貨ペアによって異なる。単にデルタと言ってもいろんな種類のデルタがある。
スポットデルタとフォワードデルタ | Quant College
通貨オプションのDomestic DeltaとForeign Deltaの違い | Quant College
通貨オプションのデルタからストライクを逆算 | Quant College
なぜ通貨オプションではストライクをデルタでクォートするのか? | Quant College

ついでに、アウトオブザマネーのストライクの定義もアセットクラスによって異なる。

  • 金利:ATMからの差分(bps単位)
  • 株式:ATMに対する比率(%単位)
  • 為替:デルタ(デルタの定義は4種類あり、そのうちのどれか。%単位)

あわせて読みたい

ストラドルとストラングルの違い | Quant College

プットコールパリティは何に使うのか | Quant College

オプション取引のリスク指標(ギリシャ指標/グリークス/Greeks)とは(1)メジャーなもの | Quant College

オプション取引のリスク指標(ギリシャ指標/グリークス/Greeks)とは(2)マイナーなもの | Quant College

インプライドボラティリティは市場価格の1つの単位 | Quant College

インプライドボラティリティをざっくり計算するには? | Quant College

なぜATMボラティリティによるプライシングは一般に正しくないのか? | Quant College

【悲報】市場では誰もBlack-Scholesでプライシングなんてしてません | Quant College

こちらもおすすめ

金融工学関連でおすすめの本:まとめ(目次) | Quant College

【初心者向け】LIBOR廃止とRFR移行の体系的まとめ | Quant College

【初心者向け】CVA入門の体系的まとめ | Quant College

【初心者向け】CVAモデルの体系的まとめ | Quant College