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ストラドルとストラングルの違い
ストラドルとストラングルの違いをまとめると以下の通り。
- ストラドルは権利行使価格の同じコールとプットを売買するが、ストラングルは権利行使価格の異なるコールとプットを売買する
- ストラドルはコールもプットも権利行使価格をATM(アットザマネー)に設定するが、ストラングルはコールもプットも権利行使価格をOTM(アウトオブザマネー)に設定する
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【簡単にわかりやすく】オプションのインザマネーとアウトオブザマネーとは?イントリンシックバリューとタイムバリューとの関係 | Quant College - コールとプットのオプションプレミアムは、(ATM)ストラドルのほうがストラングルよりも高い(買いなら高い金額を支払い、売りなら高い金額を受け取る)。なぜならストラドルはATMオプション、ストラングルはOTMオプションで、ATMのほうがOTMより権利行使できる可能性が高いから。
- (ATM)ストラドルは原資産価格がそれほど大きく動かなくてももうかるが、ストラングルは(ATMストラドルと比べ)原資産価格が大きく動かないともうからない(その代わりストラングルのほうがオプションプレミアムが安く済む)
ストラドルとは
- ストラドルの買いとは、ストライク(権利行使価格)が同じコールとプットを買うこと
- ストラドルの売りとは、ストライク(権利行使価格)が同じコールとプットを売ること
ストラドルの買いの場合、ペイオフはV字型になり、原資産価格がATM水準から大きく上がるか大きく下がればもうかる。ただしコールとプットを買っているので二重でプレミアムを支払わないといけない。コールとプットを買ったコストを上回るペイオフが得られないともうからない。原資産が上がっても下がってもよいが、ある程度大きく動いてくれないと困るわけである。
コールとプットで同じストライクを買うわけだが、このストライクが正確にATMであれば(コールもプットも50デルタ、つまりデルタが0.5であれば)、ストラドル全体のデルタはゼロである。このようにストライクがATMのストラドルのことを特にATMストラドルという。直観的には、原資産価格が上がろうが下がろうが関係ない、ということになる。
ATMストラドルは原資産価格のリスクを消して、純粋にボラティリティの上下に賭ける戦略である。すなわちデルタ(原資産価格に対する感応度)を消して、ベガ(ボラティリティに対する感応度)のリスクを取りに行くためのものである。
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ストラドルの買いは、原資産価格がATMストライクから離れれば離れるほどもうかるわけなので、ボラティリティの買いである。単にコールやプットだけを買ってもデルタが残っているが、ATMストラドルを買うことによってデルタを消してベガに賭けることができる。ATMストラドルを買ったり売ったりすることで、純粋にベガを増やしたり減らしたりするのに用いられる。
ストラングルとは
ストラングルもストラドルと同様に、コールとプットを買う戦略だが、
- ストラングルでは、コールのストライクの方が、プットのストライクよりも高い
- ストラドルではコールとプットのストライクは同じにする
ストラドルではストライクはATMにすることが多いが、ストラングルの場合は、コールとプットのストライクはATMをはさむ形で設定する。多いのは25デルタのストラングルで、これはコールのデルタが+0.25、プットのデルタが-0.25になるようストライクを設定する。プットのデルタはマイナスになることに注意。大小関係は、
25デルタプットのストライク < ATM < 25デルタコールのストライク
となる。
プットのストライクはATMよりも低く、コールのストライクはATMより高いので、どちらもOTM(アウトオブザマネー)である。
したがってATMストラドルよりも、原資産価格が大きく動かないともうからない。
コールとプットがどちらもアウトオブザマネーということは、ATMストラドルに比べてオプションプレミアムが安く済む、ということになる。
また、ストラングルはストラドルと同様、ボラティリティ自体に賭ける戦略と見ることもできるが、ストラドルに比べ、ボラティリティに対する感応度はやや低くなる。
ストラングルは実際にはストラドルと組み合わせることで、バタフライの形で取引することも多い。
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