通貨オプションを時価評価する方法は?

バニラオプションの評価方法

ここではバニラオプションを念頭に書いていく。

評価に必要なインプットは以下の通り。

  • スポット為替
  • 2通貨のイールドカーブ
  • 通貨オプションのインプライドボラティリティ

イールドカーブとフォワード為替

イールドカーブは、
・金利系と同様、担保通貨を考慮したディスカウントカーブを用いるか、
あるいは、
・古典的なLIBORディスカウントカーブ(各通貨の標準テナーのLIBORカーブ)
のどちらかになる。金利系商品だと評価対象取引の担保通貨を考慮するのが普通だが、為替系商品だといまだにLIBORカーブを使っているケースは多い。

Black式にインプットするものとしては、以下の2通りがある。
(1)スポット為替と2通貨のイールドカーブをインプットする
(2)スポット為替と2通貨のイールドカーブを使って事前にフォワード為替を求めて置き、フォワード為替だけをインプットする

結局のところ結果は同じになるのでどちらでもよい。

ボラティリティスマイル

為替ボラティリティはマーケットボラティリティだが、これを評価にどう使うかは会社によって異なる。
・証券会社などのデリバティブ業者は、モデルを使ってマーケットのスマイルを織り込む
・地銀やバイサイドなどのエンドユーザーは、モデルを使わずにマーケットで見えているストライクのボラティリティを線形補間やスプライン補間する

モデルを使う場合、事前にキャリブレーションでモデルパラメーターを設定しておく必要があるモデルと、その必要がないモデルがある。
・キャリブレーションが必要なモデル:HestonやSABRなど
・キャリブレーションが不要なモデル:Vanna-Volga法など

キャリブレーションが必要なモデルの場合は、事前に以下の処理をしておく。
・マーケットのボラティリティスマイルを取得する
・モデルをそのスマイルにフィットするよう最適化でキャリブレーションする
・その結果得られたモデルパラメーターを保管する

その後、モデルパラメーターをモデルに投入することで、マーケットのスマイルを「良い感じに」補間したボラティリティがアウトプットとして得られる。これをBlack-Scholes式に代入して時価評価する。

なお、為替ボラティリティのボラティリティ形式はBlackボラティリティ一択であり、NormalボラティリティやShifted Lognormalボラティリティは不要である。為替レートはマイナスにならないからである。

フォワードプレミアム

最後に、上記の手順でBlack式によって得られたのはオプション価値だが、オプションプレミアムが後払い(フォワードプレミアムという)になっている場合は、後払いプレミアムの時価も求める必要がある。プレミアムは金額が約定時に決まっているので、単にプレミアム通貨のイールドカーブで割り引くだけになる。プレミアムは、
・オプションの買いなら支払い
・オプションの売りなら受け取り
になるので、オプション価値とプレミアム価値は符号が逆になる。したがってこれら2つの価値をネッティングすることで最終的な時価とする。

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