為替予約を時価評価する方法は?

為替予約の時価評価は大きく分けて2通り。

  1. 為替スワップポイントからフォワード為替を求める方法
  2. USD担保ディスカウントカーブからフォワード為替を求める方法

為替スワップポイントを用いる方法

スポット為替レートに為替スワップポイントを足せば、フォワード為替レートが求まる。よって、時価評価の手順は以下の通り。

  1. 市場から取得したスワップポイントのカーブを補間して、評価対象の為替予約の満期におけるスワップポイントを求める
  2. スポット為替レートに、補間で求めたスワップポイントを足してフォワード為替レートを求める
  3. フォワード為替レートとストライク(=予約レート)の差分を求める
  4. 求めた差分を元本に乗じる

ここで注意として、最後に出てきた元本は、為替レートの差分を乗じる元本だから、外国通貨建てである。よって、外国通貨建ての元本に為替の差分をかけたものが時価なので、得られる時価は国内通貨建てとなる。例えば、

・USD/JPYの為替予約なら、元本はUSD建て、時価はJPY建て
・EUR/JPYの為替予約なら、元本はEUR建て、時価はJPY建て
・EUR/USDの為替予約なら、元本はEUR建て、時価はUSD建て

ということになる。最後のEUR/USDの場合、出てきたUSD建ての時価をJPY建てに直したければ、Todayベースの為替レートをかければよい。

USD担保ディスカウントカーブを用いる方法

この方法は、為替スワップポイントからではなく、既に生成済みのイールドカーブからフォワード為替レートを求める。

フォワード為替=スポット為替×外国通貨のDF÷国内通貨のDF

に従って求める。ここで、DFとはディスカウントファクターのことである。生成済みのディスカウントカーブを補間して、評価対象である為替予約の満期におけるDFを求める。
USD/JPYであれば外国通貨がUSD、国内通貨がJPY、
EUR/USDであれば外国通貨がEUR、国内通貨がUSD、
となる。

重要な点として、上記の外国通貨のDFと国内通貨のDFは、担保通貨が同じディスカウントカーブから求めないといけない、ということだ。

例えば、USD/JPYの為替予約で、評価対象の為替予約がJPY担保であれば、

(JPY担保の) フォワード為替=スポット為替×JPY担保USD DF÷JPY担保JPY DF

と求めるし、評価対象の為替予約がUSD担保であれば、

(USD担保の) フォワード為替=スポット為替×USD担保USD DF÷USD担保JPY DF

として求める。

ただし、市場慣行としては、JPY担保USDディスカウントカーブは、JPY担保のフォワード為替とUSD担保のフォワード為替が等しくなるように逆算されるから、上記の計算結果はどちらも同じにならないといけない。よってどちらの計算式を使ってもいいことになる。

ところが、例えば次のような計算はダメである。

フォワード為替=スポット為替×USD担保USD DF÷JPY担保JPY DF

これでは通貨ベーシスに対応する情報が評価に織り込まれないことになってしまう。上記の式では担保通貨にUSDとJPYが混在していることが問題なので、担保通貨をどちらかにそろえればよい。

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