フラット為替/フラット予約/フラット型為替予約の仕組みとは?クーポンスワップとの違いは?

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参考文献

The Front Office Manual: The Definitive Guide to Trading, Structuring and Sales (Global Financial Markets)

フラット為替の仕組みとは

フラット為替は為替予約の派生形の商品である。

フラット為替の別名には、

  • フラット予約
  • フラット型為替予約
  • 包括的長期為替予約
  • クーポンスワップ(為替系ではなく金利系の部署ではこう呼ぶ)

などがあり、どれも同じものを指している

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フラット型為替予約は、たくさんの為替予約をパッケージにしてまとめ売りするものである。
すなわち、満期の異なる為替予約をたくさん組み合わせて、例えば1年間、ドルと円を毎月同じ(フラットな)予約レートで(12回)交換する、というものだ。

重要なこととして、どの満期の為替予約も同じ予約レートになっている。これがフラット為替と呼ばれる理由である。

ここで大事なのは、普通の為替予約を別々に、たくさん約定すると、
フォワード為替をベースに予約レートが計算されるため、
各満期の為替予約は、予約レートがばらばらで異なる、ということだ。

さらに、例えばドル円であれば、ドルの方が円よりも高金利であり、フォワード為替は満期が長くなるほど円高になっていく。

このため、普通に為替予約をたくさんやると、満期が長いものほど予約レートが円高になる。

フラット為替は、満期が長くなるにしたがって円高になっていく右下がりの予約レートを、時価が変わらないように満期方向にならして平坦に(フラットに)したものだ。

この仕組みは、金利スワップの固定レートを決めるときと似ている。
右上がりのイールドカーブになっていれば、フォワードLiborレートは右上がりになっていくが、このLiborサイドの時価と変わらないように、満期方向にならすことによって、固定サイドの固定レートを決める。

同じ話は金利キャプフロアでボラティリティをクォートするときのコンベンションであるアベレージボラティリティの決定や、CDSスプレッドの決定などにも当てはまる。

これらは全て、市場では満期方向にフラットになっていない変数を、金融機関がフラットにならしてあげることで商品が出来上がっている例だ。

フラット為替とクーポンスワップの違い

実はフラット為替とクーポンスワップは実質的に同じ商品である
どちらも、円貨の固定金額と外貨の固定金額を定期的に交換する商品だからである。

フラット為替のように為替予約の集合体と見ると、
ドル元本が固定されていて、満期において(ドル元本×予約レート=円元本)とドル元本を交換する。
通常は満期が異なれば予約レートが違うが、フラット為替の場合はどの満期も予約レートが同じである。したがって、

  • ドル元本はいずれにせよ満期によらず一定
  • 予約レートが満期によらず固定なので、
    結果的に受け払いする円元本も満期によらず一定

となる。

一方で、クーポンスワップは、ドルの固定金額と円の固定金額を定期的に交換するものであり、結局のところフラット為替と同じである。

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しかしクーポンスワップは為替商品ではなく金利商品という位置づけになっており、交換する固定金額はあくまでドルの固定金利と円の固定金利、とされている。よって、固定金額=元本×固定金利×付利期間、と求めるが、いずれにせよ金額が固定されているドルと円を定期的に交換するという意味では、フラット為替と同じである。

結局のところ、フラット為替とクーポンスワップの違いは、

  • 為替商品を扱う部署ではフラット為替と呼ぶ
  • 金利商品を扱う部署ではクーポンスワップと呼ぶ

というだけである。

しかし、これら2つの商品は、

  • 契約書も違う
  • 時価評価方法も(微妙に)異なる
  • 所管部署も違う

ということが多い。

もっとも、経済効果としてはどちらも同じなので、混乱しないようにしたい。

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参考文献

The Front Office Manual: The Definitive Guide to Trading, Structuring and Sales (Global Financial Markets)

実践デリバティブ: Excelでデータ分析

FX Options and Structured Products (The Wiley Finance Series) (English Edition)

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