ノックアウトオプションとは:メリット、デメリット、リスク、プライシング(時価評価)

特徴、デメリット、リスク

ノックアウトオプションとは、原資産価格がバリア価格にヒットするとオプションが消滅する商品である。

特に通貨オプションでメジャーな商品であり、エクイティオプションでもたまに見かける。金利オプションでは滅多に見かけない。

ペイオフがコールの場合、原資産価格が行使価格を上回っていれば権利行使できる。ところが、ノックアウト条項が付いていると、たとえ満期で原資産価格>行使価格になっていたとしても、バリアにヒットしていれば、オプション自体が消滅し、権利行使できない。

用途、メリット

(バリア以外の条件が全て同一の)通常のバニラオプションと比べると、ノックアウトオプションの方が、権利行使できる可能性は低い。このため、バニラオプションよりもノックアウトオプションの方が、オプションプレミアムが安い。オプションプレミアムとは、オプションの買い手が対価として支払う代金である。

したがって、ノックアウトオプションを買うモチベーションは、

  • 原資産価格がバリア価格には到達しそうにないと思っている
  • オプションプレミアムを安く抑えたい

というものになる。

分類

ノックアウトオプションはバリアオプションの一種である。
バリアオプションは2つに大きく分けられる。

  • ノックアウトオプション
  • ノックインオプション

ノックインオプションは、ノックアウトオプションとは逆に、原資産価格がバリアにヒットして初めてオプションが発生する。満期までバリアにヒットしなければ、権利行使のチャンスはない。

ちなみにノックアウトオプションのプライスと、ノックインオプションのプライスの合計は、バニラオプションのプライスになる。これをインアウトパリティという。

バリアオプションは、経路依存オプションの一種である。経路依存オプションとは、満期における原資産価格に加えて、満期に至るまでの原資産価格の経路(推移)に依存してキャッシュフローが決まるオプションである。経路依存オプションは通常のオプションに比べてプライシングが複雑になる。

プライシング(価格の決まり方、価格計算、時価評価)

ノックアウトオプションなどのバリアオプションのプライシングにおいて、インターバンクで一般的に用いられているモデルは、確率ローカルボラティリティモデル(Stochastic Local Volatilityモデル)である。

確率ローカルボラティリティモデルとは | Quant College

確率ローカルボラティリティモデルのキャリブレーション | Quant College

確率ローカルボラティリティモデルのキャリブレーション(補足) | Quant College

しかし日系金融機関などでは、より簡便的な、Local Volatilityモデルや、バンナボルガ法が使われているようだ。

バンナボルガ法 入門 | Quant College

バンナボルガ法によるバリアオプションのプライシング | Quant College

参考文献

FX Barrier Options: A Comprehensive Guide for Industry Quants (Applied Quantitative Finance)

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