こちらもおすすめ
金融工学関連でおすすめの本:まとめ(目次) | Quant College
【随時更新】金利の期間構造モデルを勉強するのにおすすめの本:7冊 | Quant College
金融工学・デリバティブの独学におすすめのわかりやすい本・教科書:初心者向けの16冊 | Quant College
【初心者向け】LIBOR廃止とRFR移行の体系的まとめ | Quant College
LIBOR廃止とRFR移行のまとめ(後編)をリリースしました。 | Quant College
【初心者向け】CVA入門の体系的まとめ | Quant College
マーケットコンベンションのまとめ(メジャー通貨のスワップ編)をリリースしました。 | Quant College
イールドカーブのスティープニングとは
イールドカーブがスティープニング(スティープ化)した、とはイールドカーブの傾きが急になる(傾きがきつくなる)ことを言う。すなわち長短金利差が拡大することである。イールドカーブとは、横軸に満期、縦軸に金利をとったグラフである。
スティープニングとは反対に、イールドカーブの傾きがゆるくなることをフラットニング(フラット化)という。
イールドカーブの傾きが急になるケースはざっくり以下の3種類に分かれる。
- 短期金利が上がり、長期金利も上がったが、長期金利が短期金利よりも大きく上昇した場合:ベアスティープニング
- 短期金利が下がり、長期金利も下がったが、短期金利が長期金利よりも大きく下落した場合:ブルスティープニング
- 短期金利は下がり、長期金利は上がった場合:ツイストスティープニング
ベアスティープニングとは
ベアスティープ(ベアスティープ化、ベアスティープニング)とは、イールドカーブ全体が上昇するなかでスティープ化することを言う。カーブ全体が上昇しつつ傾きが急になるということはつまり、長期金利が短期金利よりも大きく上昇した、ということである。カーブの左よりも右のほうが大きく上がると、カーブの傾きはきつくなる。
ベアとは弱気相場・下落相場のことを言う。名前の由来は熊が手を振り下ろすところから下落がイメージされた、ということのようだ。
ベアは下落の象徴なのになぜイールドカーブ全体が上昇する中でのスティープ化をベアスティープ化と呼ぶかというと、債券は金利と逆の動きをするからである。ベアの「下落」は金利ではなく債券価格の下落を指している。債券価格が下落する際、反対に金利は上昇するから、イールドカーブの水準は上昇する。全体的に債券価格が下落する中で、長期債のほうが短期債よりも下落が大きいとベアスティープニングとなる。「ベア」と言われたら「債券価格が下落、ということは金利は上昇」という状況をイメージする。
ブルスティープニングとは
ブルスティープ(ブルスティープ化、ブルスティープニング)とは、イールドカーブ全体が下落するなかでスティープ化することを言う。カーブ全体が下落しつつ傾きが急になるということはつまり、短期金利が長期金利よりも大きく下落した、ということである。カーブの左のほうが右よりも大きく下がると、カーブの傾きはきつくなる。
ブルとは強気相場・上昇相場のことを言う。名前の由来は牛がツノを振り上げるところから上昇がイメージされた、ということのようだ。
ブルは上昇の象徴なのになぜイールドカーブ全体が下落する中でのスティープ化をブルスティープ化と呼ぶかというと、ベアの場合と同様、債券は金利と逆の動きをするからである。ブルの「上昇」は金利ではなく債券価格の上昇を指している。債券価格が上昇する際、反対に金利は下落するから、イールドカーブの水準は下落する。全体的に債券価格が上昇する中で、短期債のほうが長期債よりも上昇が大きいとブルスティープニングとなる。「ブル」と言われたら「債券価格が上昇、ということは金利は下落」という状況をイメージする。
ツイストスティープニングとは
ツイストスティープ(ツイストスティープ化、ツイストスティープニング)とは、短期金利は下落する一方で、長期金利は上昇することでスティープ化することをいう。カーブの左は下がり、右が上がると、カーブの傾きはきつくなる。文字通り、長短金利差が拡大した状況である。
イメージとしてはイールドカーブ全体が反時計回りに回転した状況である。
ツイストとはねじれるという意味だが、イメージとしては回転してカーブの傾きが急になる状況、と覚えておけばいいだろう。
スティープナーとは
イールドカーブがスティープ化することで利益が得られる商品やポジションのことをスティープナーという。長短金利差の拡大で利益が得られるということなので、長期金利と短期金利の差分でクーポンが決まるような商品、あるいはポジションのことである。CMSスプレッドの受け・LIBORの払いなどはその典型例である。スティープ化するとCMSスプレッドの受けが増えるので利益になる。
参考文献
あわせて読みたい
LIBOR廃止のイールドカーブへの影響についてはこちら↓
LIBOR廃止に向けたイールドカーブの移行対応が本格化 | Quant College
LIBOR廃止後のイールドカーブについて: 全体感 | Quant College
債券の関連記事はこちら↓
債券のMake Whole条項とは | Quant College
コーラブル債とプッタブル債の違い | Quant College
サムライ債とショーグン債の違い、由来、覚え方 | Quant College
【仕組みをわかりやすく】トータルリターンスワップ (Total Return Swap; TRS) とは(債券の場合):アセットスワップ、CDSとの関係 | Quant College
【証券化/MBS】クリーンアップコールの意味とは?【住宅金融支援機構のRMBS】 | Quant College
債券市場でイールドカーブ補間によく用いられているネルソンシーゲルモデルについてはこちら↓
【金利の期間構造の推定】ネルソンシーゲルモデル(Nelson-Siegelモデル)とは【イールドカーブ/利回り曲線の補間・補外】 | Quant College
実務で使いやすいイールドカーブ補間方法に求められる性質についてはこちら↓
イールドカーブを補間するときに気をつける点は? | Quant College
マルチイールドカーブについてはこちら↓
【マルチイールドカーブ】プロジェクションカーブとは | Quant College
マルチイールドカーブの論点の復習 | Quant College
通貨ベーシスを用いたイールドカーブ生成 | Quant College
無担保取引用イールドカーブ生成 | Quant College
複雑な金利デリバティブの評価に必要な金利期間構造モデルについてはこちら↓
【簡単にわかりやすく】金利の期間構造モデル(タームストラクチャーモデル)とは:勉強でつまづきやすいポイント7選 | Quant College
ショートレートモデルとフォワードレートモデルの考え方の違い | Quant College
教科書によく出てくるが実務でほぼ使わない金利の期間構造モデルの一覧 | Quant College
実務で使われている金利の期間構造モデルは? | Quant College
伝統的なHull-Whiteモデルとは | Quant College
【金利の期間構造モデル】モダンなハルホワイトモデル (Hull-Whiteモデル) とは【キャリブレーション】 | Quant College
【金利の期間構造モデル】マイナス金利とハルホワイトモデル (Hull-Whiteモデル) | Quant College
【金利モデルをわかりやすく】HJMモデルとは | Quant College
こちらもおすすめ
金融工学関連でおすすめの本:まとめ(目次) | Quant College
【随時更新】金利の期間構造モデルを勉強するのにおすすめの本:7冊 | Quant College
金融工学・デリバティブの独学におすすめのわかりやすい本・教科書:初心者向けの16冊 | Quant College
【初心者向け】LIBOR廃止とRFR移行の体系的まとめ | Quant College
LIBOR廃止とRFR移行のまとめ(後編)をリリースしました。 | Quant College