【簡単にわかりやすく】インプライドフォワードレートとは?計算方法は?【イールドカーブとディスカウントファクター】

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インプライドフォワードレートとは

フォワードレートとは、現在時点において定まる、「将来時点」から「さらに将来時点」までの金利である。例えば3か月後スタートの3カ月金利であれば、現在から3カ月後スタート6カ月後エンドの3カ月間に適用される金利である。

これは将来から将来までの金利だが、現在時点において市場で観測されるイールドカーブから逆算できる。現在のイールドカーブに織り込まれている(=インプライされている)という意味で、実務では「インプライド」を頭に付けてインプライドフォワードレート(IFRと略される)と言うことが多い。教科書やアカデミアでは単にフォワードレートと言うことが多い。

インプライドフォワードレートの計算方法は直感的には、
・6カ月金利で6カ月間運用した結果
と、
・3カ月金利で3カ月間運用した後、その結果を3か月後スタートの3カ月金利(=フォワードレート)で運用した結果
が同じになる、という無裁定の関係を用いる。

\((1+r_3M \frac{3}{12})(1+f_3M_6M \frac{3}{12}) = (1+r_6M \frac{6}{12})\)

ここで\(r_3M, r_6M\)は現在時点に観測される3カ月金利と6カ月金利、\(f_3M_6M\)は現在時点から見て3カ月後から6カ月後までの3カ月金利(=フォワードレート)である。これら金利は全て年率で表示するのが慣例であるため、1年に対する月数に応じて分数を掛け算している。上記の式から、3カ月金利と6カ月金利の2つがわかれば、フォワードレートは逆算できるのがわかるだろう。

イメージとしては、3カ月金利と、3カ月後スタートの3カ月フォワードレートを平均してならすと、6カ月金利になる、という感じである。

ここで補足として、市場で観測されるイールドカーブとは、
・各満期の割引債価格を満期方向に並べたもの
あるいは
・割引債価格をゼロレートに変換して満期方向に並べたもの
である。どちらにしても同じである。割引債価格はディスカウントファクターともいう。割引債価格とゼロレート(=ゼロクーポンレート)の関係は
\(D(T) = \exp{-zT}\)
である。

ここで問題は、市場で直接観測されるのは、
・割引債価格ではなく利付債価格
さらに
・ゼロレートではなくパーレート
であるということだ。

割引債価格やゼロレートは、満期のみでキャッシュフローが発生することを前提にしている。一方、利付債価格やパーレートは、満期までの間に何回も定期的にキャッシュフローが発生することを前提にしている。国債などの債券はたいてい利付債であり、市場で観測できる金利、例えば債券の複利最終利回りや金利スワップのスワップレートはいずれもパーレートの一種である。

したがってイールドカーブを求めるには、利付債価格やパーレートから、割引債価格やゼロレートに分解する必要がある。この方法として基本的なのはブートストラップ法であり、上記の分解は解析的に行うことができる(実務でもエクセルでみな当たり前のように行っている)。

これで求まったイールドカーブから、上記の例で言うところの\(r_3M, r_6M\)が求まるので、これらからインプライドフォワードレートは逆算される。

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