【感想あり】金利デリバティブを独学するのにおすすめの本:9冊を難易度順に紹介【マルチカーブ/マイナス金利】

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はじめに

今回は金利デリバティブの本を紹介していく。
この分野では特に金利の期間構造モデルに関する本が多数出ているが、これについては以下の別記事で書いているので合わせて参照されたい。

【随時更新】金利の期間構造モデルを勉強するのにおすすめの本:7冊 | Quant College

金利の期間構造モデルは、金利デリバティブの中でも「エキゾチック」と呼ばれる複雑な商品(バミューダンスワップション、バミューダンCMSスプレッドスワップションなど)の評価に用いる。

今回は金利の期間構造モデル以外について学びたい人向けの本を見ていく。
具体的には以下のあたりである。

  • 金利系プロダクツの商品性
  • マルチカーブとスワップ評価
  • SABRモデルとオプション評価

和書では金利デリバティブに特化した本は少なく、たいてい期間構造モデルに関する本なので、どうしても洋書が多くなってしまう。

以下ではおおよその難易度が易しいものから順に紹介していく。

[1]

スワップ取引のすべて(第5版)

  • 金利デリバティブを中心に、プライシング以外にも規制、会計、契約書、対顧販売時の注意点など、実務家向けの基本を広く浅く解説した本
  • スワップだけではなくオプションについても書いてある
  • 最新の第5版では、マルチカーブ、CVA/FVA、CCP、証拠金規制など最近の内容も追加されている
  • 日本語で金利デリバティブに入門したい方におすすめ

[2]

実践デリバティブ: Excelでデータ分析

  • 金利に特化した本ではなく、為替、クレジット、仕組債などいろんなトピックを広くつまみ食いできる本
  • 難易度はジョンハル本と同程度だが、図解も多く、コンパクトで読み易い
  • 数式は出てくるが、多くは学部一年レベルでそこまで難しくない
  • 第2章で金利スワップや通貨スワップ、第5章でキャップフロアやスワップション、第8章でCMSプロダクツ、第11章でマルチカーブやマイナス金利の導入が解説されている
  • 日本語で、かつ、数式ありでデリバティブに入門したい方におすすめ

[3]

EXCELでわかるLIBORディスカウントとOISディスカウント(CD-ROM付き)

  • マーケットレートからディスカウントファクターを逆算する手順が数式で説明されている
  • 古典的なLIBORディスカウントから始まり、OISディスカウントによるマルチカーブの構築方法を詳しく解説
  • キャッシュフローの図解で計算手順がイメージしやすい
  • 確率解析が必要なのは理論的根拠を書いてる第3章のみで、その他の章はシグマ記号がわかれば読める
  • 日本語でマルチカーブやスワップ評価を学びたい方におすすめ

[4]

Interest Rate Swaps and Their Derivatives: A Practitioner’s Guide (Wiley Finance Book 510) (English Edition)

  • 英語に抵抗感がない実務家には、この本がおすすめ
  • 数式が結構出てくるが、必要以上に深入りせず、実務家目線で説明してくれるのでわかりやすい
  • 扱うトピックも実務で使うものに絞られているが、スワップ、バニラオプション、エキゾチックと幅広くカバーされている
  • 債券、スワップ、ディスカウントカーブの説明に始まり、Black公式とBachelier公式、キャップフロアやスワップション、SABR入門、CMSプロダクツ、終盤では様々な期間構造モデルをひと通り解説
  • 第4章にマルチカーブの基本についても解説があるほか、第6章にはマイナス金利下において必須であるBachelier公式の導出も載っている

[5]

Interest Rate Derivatives Explained: Volume 1: Products and Markets (Financial Engineering Explained) (English Edition)

  • 金利デリバティブ評価について現代的な内容を学べる2分冊の1冊目
  • バニラプロダクツの商品性と評価方法について、数式を使いつつも実務家向けに易しく解説
  • 特徴は、マルチカーブ、ボラティリティスマイル、マイナス金利、CVA/FVAなど、現在では常識となっているが比較的新しいトピックが網羅されている
  • 数式は導出などの詳細は少なめで、要点がコンパクトにまとまっている
  • 内容は、FRAやスワップとそのコンベンション、イールドカーブの構築と補間、キャップフロアやスワップションとボラティリティクォートのコンベンション、CMSオプションとCMSスプレッドオプション、CVA/FVAなど
  • 基本的なスワップやオプションについて現代的な評価方法を数式で学びたい方におすすめ

[6]

Interest Rate Derivatives Explained: Volume 2: Term Structure and Volatility Modelling (Financial Engineering Explained) (English Edition)

  • 金利デリバティブ評価について現代的な内容を学べる2分冊の2冊目
  • エキゾチックプロダクツの商品性、HestonやSABRによるバニラオプションの評価、様々な期間構造モデルについて、数式を使いつつも実務家向けに易しく解説
  • 特徴は、SABRモデルの様々な派生形、SABRモデルのマイナス金利対応など、新しいトピックが網羅されている
  • 数式は導出などの詳細は少なめで、要点がコンパクトにまとまっている
  • 内容は、債券とアセットスワップ、コーラブル債とスワップション、エキゾチック商品(TARN、スノーボール、レンジアクルーアルなど)、CVAに関するエクスポージャー、Hestonモデル、SABRモデル、様々な期間構造モデル(ショートレートモデル、HJMフレームワーク、LMMなど)
  • SABRモデルとその派生形を数式で学びたい方におすすめ

[7]

Interest Rate Modelling in the Multi-Curve Framework: Foundations, Evolution and Implementation (Applied Quantitative Finance) by Marc Henrard(2014-05-29)

  • マルチカーブに特化して解説した本
  • マルチカーブ構築方法、イールドカーブ補間方法を詳しく解説
  • 既存のスマイルモデルや期間構造モデルをマルチカーブ前提で使用する方法も書かれている
  • 現在では常識となっている、担保通貨によってディスカウントカーブを変える慣行の理論的基礎も学べる
  • 確率解析の基本さえおさえていれば、数式はそこまで難解ではない
  • マルチカーブを数式でがっつり学びたいクオンツやトレーダーにおすすめ

[8]

SABR and SABR LIBOR Market Models in Practice: With Examples Implemented in Python (Applied Quantitative Finance) (English Edition)

  • 金利の定義等の基本からSABR-LMMまで幅広くカバーしている本
  • 導出は少なめで、実装に必要な式をまとめた本、という印象
  • マイナス金利対応やキャリブレーションなど、実務的な話が多くて有用
  • それほど多くはないが、一部についてはPythonコードが載っている
  • SABRモデルとSABR-LMMをがっつり学びたいクオンツやトレーダーにおすすめ

[9]

Interest Rate Modeling. Volume 1: Foundations and Vanilla Models by Leif B. G. Andersen Vladimir V. Piterbarg(2010-02-06)

  • 金利デリバティブ・金利モデルの分野で有名な3分冊の1冊目
  • 3分冊は何でも載っているので辞書的に使える
  • 他の本に比べると数式展開の難易度が高め
  • 内容は主に、プライシングの基礎理論、数値解法(PDEとモンテカルロ)、金利モデリングの基礎、金利系商品の特徴(バニラからエキゾチックまで)、イールドカーブ構築と補間、スマイルモデル(SABRなど)
  • 「お気持ち」ではなくロジックを積み上げ式で理解したいクオンツやトレーダーにおすすめ

おわりに

金利デリバティブでおすすめの本を紹介した。
難易度順にしてあるので、ご自身のレベルに合ったものを選んで頂きたい。

[1]

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