OISを時価評価する方法は?

OISとは

OISはOvernight Index Swapの略で、翌日物金利指標 (Overnight Index) を参照する金利スワップである。OISは金利スワップの一種であり、変動金利と固定金利を交換するが、その変動金利が翌日物金利、というだけである。

Overnight Indexは以下の通り。

  • JPYであればTONAR
  • USDであればSOFRやEFFR
  • EURであればESTRやEONIA
  • GBPであればSONIA
  • AUDであればAONIA

USDとEURは新旧2種類のOvernight Indexがあることに注意。SOFRやESTRはLibor廃止に伴い、Liborの代わりとなる金利指標 (RFR; Risk Free Rate) である。EFFRやEONIAはLibor廃止が決まる前からOISの金利指標として一般的に用いられてきたOvernight Indexである。EFFRは廃止されない見通しだが、EONIAは将来的に廃止されることとなっている。

OISの時価評価

OISは金利スワップと同様に時価評価できる。
手順は2つの段階に分かれる。
・第一段階はイールドカーブの生成
・第二段階はそのイールドカーブを使って時価評価

評価に必要なイールドカーブは以下の2つ。
・将来のキャッシュフローを割り引くのに用いるディスカウントカーブ
・将来の変動金利(のフォワード測度における期待値)を求めるのに用いるプロジェクションカーブ
これら2つについて以下で見ていく。

ディスカウントカーブ

ディスカウントカーブの選択は、OISが有担保か無担保かによって変わってくる。

有担保の場合は、担保通貨に応じてディスカウントカーブを選択する。
JPY担保のJPY OISの時価評価であれば、JPY OISから作ったOISカーブで割り引く。
JPY担保のUSD OISの時価評価であれば、
・USD OISカーブを作り、
・その他のカーブを組み合わせて、通貨ベーシスからUSD担保JPYディスカウントカーブを作り、
・最後に、為替フォワードが担保通貨に依存しないと仮定して、JPY担保USDディスカウントカーブを逆算する。

無担保のケースはあまりないだろうが、無担保の場合は時価評価する主体の無担保ファンディングレート、すなわち無担保借入金利で割り引く。この無担保ディスカウントカーブの作り方は会社によって異なるが、何らかのベース金利のディスカウントカーブに、フラットに固定したファンディングスプレッドを上乗せして作る、といったことが考えられる。邦銀とかはJPY LIBOR6Mカーブを無担保ディスカウントカーブに使っているかもしれないが、LIBORが廃止された後はTIBOR6Mカーブに変わるだろう。より正しくは、OISで割り引いてそこからのずれをXVAで調整する、という方法である。

プロジェクションカーブ

プロジェクションカーブは、変動金利のフォワードレートを求めるのに使う。これは金利インデックスによって異なるカーブとなる。JPY OISであれば現状は、金利インデックスはTONARひとつしかないので、TONARのカーブを作る。これはJPY OISから通常の方法で作れる。

将来的にターム物を参照するOISの流動性が高まってくると、ターム物を参照するOISからターム物の金利インデックス、すなわちJPYであればTORF、のプロジェクションカーブを作り、それを用いて、TORFを参照するOISを時価評価する、という時代が来るだろう。

時価評価

まず固定Legと変動Legの将来キャッシュフローを求める。

固定Legのキャッシュフローは、単に
元本×固定金利×付利期間
で求まる。

変動Legのキャッシュフローは、
元本×フォワードレート×付利期間
で求まる。
ここで、フォワードレートを求めるのにプロジェクションカーブを用いる。
プロジェクションカーブとは、以下の式でフォワードレートが求まるような、ディスカウントファクターの集まりである。

\( F(t_i , t_{i+1} ) = \frac{1}{(t_{i+1} – t_i )}\left( \frac{D(t_i)}{D(t_{i+1})} – 1 \right) \)

つまりこの式でフォワードレートを求めればよい。右辺のディスカウントファクター \(D\) はプロジェクションカーブを補間して求める。

固定Legと変動Legのキャッシュフローが求まったら、担保通貨(あるいは無担保ファンディング通貨)に合わせて選択したディスカウントカーブを補間し、利払日におけるディスカウントファクターを求め、ディスカウントファクターをキャッシュフローにかけて合計すれば、固定Legと変動Legの時価が求まる。最後に固定Legと変動Legの時価を受け払いを考慮してネッティングすればよい。

より深く学ぶには

以下のテキストでは、スワップの時価評価について実務的な内容が平易に書かれている。

スワップレートからイールドカーブを生成する具体的な計算式については、和書なら以下の本がよい。

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