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TONAの正式名称

Tokyo OverNight Average rateの略。TONARと略すこともある。

ざっくり解説

実取引の約定金利である無担保コール翌日物金利を加重平均したものである。

コール市場とは、銀行間で短期の資金を無担保で貸し借りする市場である。翌日物金利とは、期間が1営業日の金利のことで、今日借りて明日返す、という場合に適用される金利である。

TONAは、 短資会社3社の提供する無担保コール翌日物の実取引データをもとに、約定レートの出来高加重平均により日銀が算出している。日銀によるTONAの公表ページはこちら

  • 速報値当日の午後5時15分頃に日銀が公表
  • 確報値翌営業日の午前10時頃に日銀が公表

TONAの集計方法・公表方法の詳細は日銀の資料を参照。

TONAは円のRFR (Risk Free Rate) と指定されており、円LIBORが廃止された後の後継金利となっている。
今までは円金利スワップといえば円LIBORスワップだったが、
円LIBOR廃止後は、円金利スワップといえば円TONAスワップ、ということになる。

TONAと無担保コール翌日物の違い

実際のコール取引の金利は市場実勢で毎回変わり得るが、Averageとあるように、実取引の翌日物金利を加重平均した結果を日銀が公表している。
したがって、

  • 実際に約定した際の金利は取引ごとに異なる。これが無担保コール翌日物であり、言及する際はMUTANと書いてあることもある。MUTANは取引ごとに一日に何回も異なるレートが発生することになる。
  • 実取引の金利であるMUTANを日銀が加重平均して、一日一回公表しているのがTONAである。

TONAの読み方

トナーである。

TONAの書き方・表記法

トナーには2つの表記法があり、文献によって異なる表記をしていることがあるが、同じものを指している。

  • TONA
  • TONAR

Tokyo OverNight Average Rateなので、Rateまで含めればTONAR、Rateを含まなければTONA、となる。

OIS、TONAスワップ、後決め複利とは

OISとは翌日物金利スワップ (Overnight Index Swap) のことである。
OISの円金利版がTONAスワップということになる。

円金利OIS=TONAスワップ

TONAスワップは変動金利としてTONAを参照するスワップである。
TONAは無担保コール翌日物金利から計算されている。

無担保コールコール翌日物金利は、日銀が公開市場操作を行う際に誘導目標とする短期金利としても知られる。したがってTONAスワップレートは、日銀の金融政策の影響を受けるといえる。

TONAスワップをはじめとするOISでは、変動金利が後決め複利になっているのが特徴であり、多くの人がこの後決め複利の理解でつまづく。

TONAは翌日物の金利であり、毎営業日異なるレートが公表される。しかしスワップのユーザーである金融機関や事業法人は、TONAを毎営業日受け払いするわけにはいかない。毎日利払というのは事務負荷が重すぎて現実的ではないからだ。

このため、TONAを一定期間(1年や6カ月など)、複利で回した結果のレートを変動金利として定期的に支払う。固定金利の支払いサイドも、変動金利と同じサイクルで利払いする。

利払いサイクルが一年であれば、一年間の複利計算結果が、変動金利サイドの最終的な利払いに用いられる金利となる。

TONA複利の関連指標

毎営業日公表されるTONAの確報値を、株式会社QUICKが複利計算した指標が2021年3月15日から公表されている。我々が複利計算しなくても、QUICK社が代わりに複利計算してくれる、というわけである。

  • TONA Averages:30Days, 90Days, 180Daysの3種類
  • TONA Index

TONA Averagesは、指標の基準日からさかのぼって30日前、90日前、180日前から基準日までの間、TONAを日次で複利計算したレートである。例えばTONA Averages 180Daysであれば、足元で計算したヒストリカル180日のTONA後決めレートである。

TONA Indexは、2017年6月14日(日銀が「無担保コールO/N物レート行動規範」制定した日)に100単位だった資産をTONAで複利計算した場合の基準日における資産評価額。2017年6月14日から基準日までのTONAの複利計算結果がわかる。金利を計算したい期間について、終了日のTONA Indexを、開始日のTONA Indexで割り算すれば、その期間におけるTONAの複利計算結果が得られる。

日銀が推進するTONA First(TONAファースト)とは

日銀(日本円金利指標に関する検討委員会)が推し進めているのがTONA Firstという動きである。

TONAファーストとは「日本円の金利スワップをやりたい、と言われたら金融機関はLIBORスワップレートではなくTONAスワップレートを顧客に呈示する」というものである。言い換えると「金利スワップのマーケットメイカー(流動性供給者)による気配値の呈示をLIBORベースからTONAベースに変更する」ということになる。

したがって、もし顧客が固定払い・LIBOR受けのLIBORスワップを取引したい場合は、次のようにTONAを間にはさんで2件のスワップを取引することになる。

  • 固定払い・TONA受けのTONAスワップ
  • TONA払い・LIBOR受けのTONA vs LIBORベーシススワップ

円LIBORに代わる後継指標

TONAの後決め複利は円金利デリバティブにおいて、円LIBORの後継指標として正式に指定されている。したがって、金利スワップ、金利スワップション、金利キャップ・フロアなどは全て、原則として円LIBORの後継指標はTONAの後決め複利になる。

しかしローン、変動利付債、証券化商品などのキャッシュ商品(=デリバティブ商品以外)については、TONA以外の金利指標が選択される可能性がある。

円LIBORに代わる後継指標の選択肢は以下の通り。

  • 後決め複利TONA
  • TORF
  • DTIBOR

後決め複利TONAは、金利デリバティブの後継指標であるため、金利スワップでヘッジすることが想定される場合のローンや変動利付債に使われる可能性がある。

TORFはLIBORやTIBORと同様、前決め金利であることから、金融機関の既存のシステムや事務オペレーションとの親和性が高いので、TORF待望論が根強い。しかし満期6カ月や3カ月といった短期のTONAスワップの流動性が十分増えない限り、TONAスワップを取引することでTORFを不正操作できるかもしれない。このため、TORFはまだ金利指標としての頑健性に不安があると考えられている。

TIBORについては、ZTIBORの廃止が予定されているので、DTIBORを選ぶことになる。
しかしDTIBORもLIBORと同様、頑健性に不安があり、不正操作できるのでは?と(主に海外から)指摘され、存続が危ぶまれる可能性がある。
また、あくまで金利デリバティブの後継指標は後決め複利TONAであるため、DTIBORスワップの流動性はそれほど増えないと考えられる。
DTIBOR6Mスワップを取引するためには、TONAファーストの状況下においては、金融機関は次のような取引を行うことになる。

  • TONAスワップ
  • ZTIBOR vs TONAベーシススワップ
  • DTIBOR vs ZTIBORベーシススワップ

DTIBOR3Mのスワップを取引しようとすると、金融機関は次のような取引を行うことになる。

  • TONAスワップ
  • ZTIBOR6M vs TONAベーシススワップ
  • ZTIBOR3M vs ZTIBOR6Mベーシススワップ
  • DTIBOR3M vs ZTIBOR3Mベーシススワップ

DTIBOR3M vs DTIBOR6Mベーシススワップよりも、テナーが同じDTIBORとZTIBORを交換するベーシススワップの方がメジャーである。

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