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ESTRとは
Euro Short-Term Rateの略である。日本語だとユーロ短期金利、となる。欧州中央銀行(ECB)が公表する翌日物金利のことである。
Libor廃止の流れを受けて欧州では独自のベンチマーク規制を導入するが、現状、欧州では金利スワップなどの変動金利インデックスとしてLiborはほぼ使われておらず、代わりにEuriborが使われている。
EuriborはLibor廃止後も生き残るとみられているが、Euriborの算定方法は欧州独自のベンチマーク規制を遵守できないとみられている。また、グローバルではLiborをRFR、すなわちRisk Free Rateで置き換えていく流れがあるため、欧州でもEuriborをRFRに置き換えていく予定。
このRFRというのは、銀行の信用リスクをほぼ含まない金利のことで、各通貨におけるオーバーナイトレート、すなわち翌日物の金利がRFRとして指定されている。翌日物の金利とは、今日お金を借りて翌営業日に返済する場合の金利である。
このRFRが欧州ではESTRである。このため、今後はEuriborがESTRに置き換わっていくと予想されている。
ESTRとEONIAの違い
加えて、現在、欧州では翌日物の金利としてEONIAというのがあり、このEONIAが翌日物金利のスワップであるOIS (Overnight Index Swap) の変動金利として使われてきた。
しかしEONIAもまた、Euriborと同様、その算定方法が欧州独自のベンチマーク規制を遵守できないため、EONIAもESTRで置き換わっていくことになる。
現在、EONIAは、
EONIA = ESTR + 8.5bps
で固定されている。
すなわち、EONIAはESTRとは独立して別の動きをしているのではなく、ESTRと固定スプレッドでひもづけられている。EONIAも変動してはいるのだが、その変動の仕方はESTRと全く同じ、というわけである。
EONIAはもはや今後は使われないため、独自の値を公表することはもうストップされているが、現状のOISの契約ではEONIAが参照されているため、やむを得ずEONIAは現在も生き残っている。しかし実態としてEONIAはESTRに固定スプレッドを足されただけのものであり、もはや独自に動いている金利というわけではなくなっている。
ESTRのいろいろな表記
ESTRは記事によって異なる表記がされていることがあるので注意。
例えば以下のような表記が見られるが、全て同じものを指している。
- ESTR, Estr
- ESTER, Ester
- €STR, €str
- €STER, €ster
ここで、€は通貨ユーロのことであり、日本円の¥に対応する。
ESTRは欧州中央銀行ECBが公表するものなので、公式の表記としては、ECBが使っている「€STR」が正式だと思われる。しかし上記のどれを使っても一応問題なく通じるようだ。
ESTRの読み方は「エスター」
ESTRは「エスター」と読む。
他にもあり得る読み方としては、以下のようなものがあるが、どれも普及していない。
- イースター
- ユーロスター
外人はみな「エスター」と呼んでいるので、「エスター」と読む、と覚えておこう。