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はじめに

今回はCDSなどのクレジットデリバティブについて学ぶのにおすすめの本を紹介する。
以下、だいたいの難易度が易しいものから難しいものの順に説明する。

[1](入門レベル)

新クレジット・デリバティブのすべて

  • かなり前から出版されていた「クレジットデリバティブのすべて」シリーズを改訂した最新版
  • CDSについて商品性、取引戦略、評価モデル(ISDA標準モデル、マートンモデル)、契約書について、実務家向けの内容がよくまとまっている。特に後半では契約書について詳細に解説されている
  • 数式はほとんどなくて文章が中心
  • コラムには過去の事例、実務家の参考になるTipsが載っていて、かゆい所に手が届く良書
  • 学者やクレデリの専門家でなければ、CDSの学習はこれ一冊で事足りるだろう
  • CDSの実務的な内容を数式なしで学びたい人におすすめ

[2](初級レベル)

クレジットリスク ―評価・計測・管理―

  • クレジットについて包括的に書かれた良書
  • クレジットリスクの計量化、クレジット商品の評価などについて、幅広く学びたい人向け
  • 後述するシェーンブッハー本よりは数式が少なめで、文章が多い
  • 実務家向けの本であり、グラフや図表で直感的にわかるよう工夫がされている
  • 格付推移、構造型モデル、誘導型モデル、社債、転換社債、CDS、CDO、などカバー範囲が広い
  • 12章はカウンターパーティリスク、EPEやCVAについて学べる
  • 社債も含めたクレジット商品について、その商品性とモデルの概要を幅広く学びたい人におすすめ

[3](中級レベル)

信用リスク評価の数理モデル (シリーズ 現代金融工学)

  • デフォルト率などクレジットリスクの計量化や、デフォルトの判別・予測について古典的な手法がまとまっている
  • ヒストリカルデータから統計的にパラメーターを推定するロジックについて、数式ベースで詳しく学べる
  • 状態空間モデル、判別分析、一般化線形モデル、確率選択モデル(多項ロジットモデル、多項プロビットモデル)、比例ハザードモデル、など
  • クレジット商品のプライシングモデルについても最終章にまとまっている
  • クレジットリスク計量化について、パラメーター推定など統計的手法を数式メインで学びたい人(銀行のリスククオンツ、損保アクチュアリーなど)におすすめ

[4](中級レベル)

クレジット・デリバティブ―モデルと価格評価

  • クレジット商品の評価モデルを日本語で学ぶならこれ
  • どうしても数式は出てくるが説明は丁寧で比較的読みやすい
  • 原著は2003年で少し古いが、CIRモデル、格付推移、企業価値モデル、デフォルト相関、と主要なテーマは全てカバーされている
  • クレジット商品の評価を数式メインで学びたい人(トレーダーやクオンツ)におすすめ

[5](中級レベル)

信用リスク計測とCDOの価格付け (シリーズ 金融工学の新潮流)

  • CDOなどのポートフォリオプロダクツの評価について、技術的な点をまとめた本
  • デフォルト相関のモデリングと、ファクターコピュラモデルによるCDOなどの評価について数式ベースで体系的に整理されている
  • その他、コヒーレントリスク尺度、極限損失分布とグラニュラリティ調整、鞍点近似など、リスククオンツ向けの技術的なトピックを取り扱っている
  • ハザードレート等の基礎は序盤で軽く説明されるが、読み込むには理系学部1、2年程度の確率論の知識は必要
  • 日本語と数式ベースでデフォルト相関のモデリングを学びたいリスククオンツ、クレデリのクオンツにおすすめ

[6](中級レベル)

Credit Derivatives: Trading, Investing, and Risk Management (The Wiley Finance Series Book 508) (English Edition)

  • クレジットデリバティブの実務的な側面を詳しく解説した本
  • 商品性、契約書、トレーディング、プライシング、リスク管理がひと通り説明されている
  • ポートフォリオプロダクツにも結構なページ数が割かれている
  • 最終章としてサブプライム問題の解説が付いている
  • 数式は少なめなので、クオンツだけではなくトレーダーやストラクチャラーにもおすすめ

[7](中級~上級レベル)

Modelling Single-name and Multi-name Credit Derivatives (The Wiley Finance Series Book 574) (English Edition)

  • クレジットデリバティブについておそらく最も詳しい本
  • 社債、アセットスワップ、CDS、CDSオプション、マルチネームCDS、CDOなど、あらゆるクレジット商品について詳しく解説されている
  • 書籍の後半は全て、ポートフォリオプロダクツの説明に費やしている
  • 商品性などの定性的な話、日付展開やインデックスのロールなど実務的な話、コピュラやデフォルト相関・プライシングモデル・リスク指標計算など数理的な話、が全て書かれている
  • ポートフォリオプロダクツも含めたクレジットデリバティブ全般について詳しくなりたいクオンツやトレーダーにおすすめ

まとめ

  • クレジットデリバティブ、クレジットリスク計量化について学ぶのにおすすめの本を紹介した。
  • 契約書など実務的な話を知りたいなら[1]
  • プライシングやリスク管理など技術的な話も含めて幅広くかつ体系的に学びたいなら[2]
  • プライシングではなくヒストリカルデータを用いた統計分析を学びたいなら[3]
  • クレジットデリバティブのプライシングを数式で学びたいなら[4]
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