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クレジットリンクノート(CLN)と社債の違い
クレジットリンク債は英語だとCredit Linked Noteで、CLNと略される。日本語でもクレジットリンクノートと呼ばれる。
クレジットリンク債は社債に似ているが、違いは以下の通り。
- 社債の場合は、投資家が負っているクレジットリスクは発行体のものだけ
- クレジットリンク債の場合は、投資家が負っているクレジットリスクは、発行体のものと、CLNが参照する企業(参照組織)のもの、の2社分ある
CLNの発行体がSPCの場合、発行体のクレジットはつまり、投資家がSPCに預けている担保債のクレジットである。なぜなら、担保債がデフォルトすると、SPCスキームを解体することになり、その清算時にある程度の金額は回収できるかもしれないが、それ以降のキャッシュフローは得られないからである。
ただし担保債がJGBや米国債などであれば、リスクはかなり低いとはいえるが、担保債のクレジットリスクは必ずしもゼロではない点には注意したい。
クレジットリンク債の復習
クレジットリンク債は、
・参照債券がデフォルトしない間はクーポンが支払われて、
・参照債券がデフォルトしたら元本が毀損する。
なんだか社債に似ているような気もするが、落ち着いて考えると違いはすぐわかる。
重要なのは、クレジットリンク債の発行体は、参照債券の発行体(参照組織)とは異なる、ということである。
社債との違いを確認
社債で投資家がベットしているのは、
- その社債自体の発行体のクレジット
である。
一方で、クレジットリンク債で投資家がベットしているのは、
- クレジットリンク債自体の発行体と、
- それとは別の参照債券の発行体、
両方のクレジットである。
ベットしているクレジットの数が多いため、より多くのクレジットスプレッドが上乗せされて、同じ発行体の社債より高クーポンになる。
クレジットリンク債では、
・参照債券(参照組織)がデフォルトしたら(クレジットイベントが起きたら)元本が毀損する
が、それに加えて、
・クレジットリンク債自体の発行体がデフォルトした場合も損失が出てしまう。
発行体がクーポンを払えなくなるからである。
クレジットリンク債の発行体は、金融機関か、あるいは金融機関が設立したSPCである。よくあるのは、投資家が、持っている国債をSPCに担保として預けて、そのSPCが発行するクレジットリンク債を買う、というスキームだ。これはJGBリパッケージ債と呼ばれており、クレジットリンク債に限らず、リバースデュアル債、CMSスプレッド債など、いろんな仕組債がJGBリパッケージ債として発行されているようだ。
Credit Linked Note (CLN) のプライシング(時価評価、価格計算)
クレジットリンク債のプライシングとしては、理想的には、金利に加えて、クレジットリンク債の発行体と参照債券の発行体の2つのクレジットが関係するため、これら2つのクレジット相関を考慮に入れたいところだ。
しかしながら、よくあるのは、
- クレジット相関は考慮しない
- クレジットリンク債の発行体のクレジットは、スプレッドをフラットに固定して、ディスカウントファクターの方に反映する
- 参照債券のクレジットも確定的として、CDSにキャリブレーションしたハザードレートを用いて、クレジットをキャッシュフローの方に反映する
というような簡便的な評価である。
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