デフォルト発生時のCDSのオークション決済

デフォルトが発生した際、CDSのプロテクションセラーはプロテクションバイヤーに対して、その損失を補填する。

この損失補填の決済については、現在はオークション決済が一般的となっている。
 
CDSのデフォルト時決済金額を決めるということは、プロテクションバイヤーの損失額を決定するということ、つまりCDSが参照している発行体の債券の時価を決定することである。
この債券時価を決定する方法として、現在はオークションが採用されているわけだ。
 
決済方法には現物決済と現金決済がある。
 
現物決済は、実際に債券を保有しているプロテクションバイヤーにとってのみ可能となるが、その債券をオークションを通じて額面で売りつけることができる。
これによって、額面と時価の差額を補填されたのと同じことになる。
 
しかし実際には、現物の債券を保有していないことが多く、ほとんどのケースで現金決済が選択されているようだ。
現金決済の場合、額面100に対して、オークションで時価が30と決まったら、差額の70が現金で、プロテクションバイヤーに支払われる。
 
ここで、額面100に対して30が返ってきたので、回収率、つまりリカバリーレートは30%であり、言い換えると、デフォルト時損失率LGDは70%である。
ここで、上記のようにオークションで実際に決済される回収額によりリカバリーレートが求まるが、これは、デフォルトが起こる前、CDSのパースプレッドをクォートする際に前提となるリカバリーレートとは、全く別物であることに注意しよう。
CDSのプライスをクォートする際に前提とするリカバリーレートは、あくまで決めの問題であって、地域によって異なるリカバリーレートが採用されている。
CDSの契約を開始する際に、将来にオークションで決定される実際のリカバリーレートを予測することは当然できない。
 
オークションでは債券の時価が決定されるが、
CDS契約におけるリストラクチャリングの定義によっては、
CDSの満期に応じて異なる時価になることがある。
リストラクチャリングなどデフォルトの定義については、別の記事で書きたい。

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