【仕組債の仕組みとカラクリ】クレジットリンク債の時価評価(プライシング)方法

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【仕組債の仕組みとカラクリ】クレジットリンク債とは | Quant College

CLNの復習

クレジットリンク債(Credit Linked Note; CLN)とは仕組債の一種で、参照組織の債券がデフォルトしたらその回収率に応じて損失をくらうが、そのリスクを引き受ける代わりに高いクーポンが受け取れるものだ。

キャッシュフローは以下の通り。

  • 参照組織の債券にデフォルトが起こるか満期が到来するまで、高いクーポンを受け取る
    • クーポンの種類は固定金利と変動金利の両方があり得る
  • 参照組織の債券にデフォルトが起きたら、
    • それ以降のクーポンはもらえない
    • 参照組織の債券の回収率に応じて、元本の一部を失う

時価評価(プライシング)のポイント

CLNの不確実性としては金利参照企業のクレジットである。

時価評価方法は、コーラブル条項(早期償還条項)が付いているか付いていないかで大きく変わる。

コーラブルなしの場合、金利とクレジットが独立と仮定すればCLNはCDSと同様に、プライシングモデルなしで評価できる。

早期償還条項ありの場合

コーラブルありの場合、プライシングモデルが必要になる。満期が長い場合は特に、金利とクレジットの2ファクターモデルを使うのが理想だろう。

ここで問題になるのは、クレジットのボラティリティがマーケットでほとんど観測されないという点だ。USDなどは9Mあたりまでの短期ゾーンで、クレジットボラティリティ(CDSオプションボラティリティ)が観測できることもあるが、通常、クレジットボラティリティは十分に信用できるマーケットデータの取得が困難である。

クレジットボラティリティが無いのにクレジットモデルをどうキャリブレーションするのか | Quant College

クレジットのプライシングモデルを使う場合、そのキャリブレーション対象は、CDSくらいしかない。しかしモデルではクレジットボラティリティに対応するパラメーターもある。そこで、ボラティリティパラメーターだけはCDSスプレッドのヒストリカルデータからざっくり推定し、その他のモデルパラメーターをCDSスプレッドにフィットさせる、というのが一つの方法として存在する。

クレジットCIRモデルのキャリブレーション | Quant College

金利とクレジットの相関は例えば、スワップレートとCDSスプレッドのヒストリカル相関などでざっくり推定するしかないだろう。

時価評価(プライシング)の手順

早期償還条項なしの場合

  • 元本とクーポンの通貨に対応するディスカウントカーブをスワップレートなどから作る
  • 参照企業のCDSからハザードレートのカーブ、つまりデフォルト確率のカーブを作る(生存確率はデフォルト確率から容易に求まる)
  • クーポンに生存確率をかけてキャッシュフローの期待値を求め、ディスカウントカーブで割り引く
  • 元本償還はデフォルトした場合としなかった場合に分けて考える。
    • デフォルトした場合の評価は、元本に回収率デフォルト確率をかけてキャッシュフローを求め、ディスカウントカーブで割り引く
    • デフォルトしていない場合の評価は、元本に生存確率をかけてキャッシュフローを求め、ディスカウントカーブで割り引く
  • クーポン時価と元本償還時価の合計をCLNの時価とする

早期償還条項ありの場合

早期償還なしの場合と異なる点のみ書いていく。

  • クレジットにはCIR++モデルなどCIR系のモデルを使うことが多い。デフォルト確率がマイナスになると困るので、カイ二乗分布がベースとなるCIRモデルとの相性が良い。
  • 金利も動かす場合は金利にHull-Whiteモデルを使うハイブリッドモデルになるが、以下では簡単のためクレジットのみを動かす場合を書いていく。
  • CDSスプレッドのヒストリカルデータからクレジットボラティリティを求める
  • CIR++モデルのボラティリティパラメーター \(\sigma\) 以外のモデルパラメーターをCDSスプレッドにフィットさせる
  • CIR++モデルをもとにPDEまたは最小二乗モンテカルロでクレジットリンクスワップションの時価を求める
  • 早期償還なしのバニラなクレジットリンク債の時価から、クレジットリンクスワップションの時価を差し引いたものをコーラブルCLNの時価とする
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