リカバリーロック(リカバリースワップ)取引とは【CDS/回収率/クレジット】

こちらもおすすめ

【感想あり】CDSなどクレジット商品・クレジットリスクの勉強におすすめの本7選 (難易度順) | Quant College

【初心者向け】CVA入門の体系的まとめ | Quant College

【初心者向け】CVAモデルの体系的まとめ | Quant College

QuantLib-Pythonチュートリアル(導入編)をリリースしました。 | Quant College

計算演習 確率解析(伊藤の公式編)をリリースしました。 | Quant College

金融工学関連でおすすめの本:まとめ(目次) | Quant College

リカバリーロック(リカバリースワップ)取引とは

債券のデフォルト後の回収率を固定化するのに用いる取引のこと。デフォルト前に契約で設定した固定の回収率と、デフォルト後に判明する実際の回収率を交換するのがリカバリーロックである。回収率をヘッジする目的でトレードされたり、市場参加者間で回収率を予想し合ってトレードされたりする。

債券のデフォルト可能性が非常に高まっている場合、当該債券を参照するCDS(クレジットデフォルトスワップ)の流動性が低下する。なぜならCDSはデフォルト確率に着目した取引であり、デフォルト確率が100%に近い状況ではあまり意味をなさないからだ。実際、CDSのトレード(つまりCDSスプレッドの計算)において回収率は、市場実勢と関係なく(ほぼ根拠なく)決め打ちで設定された値(日本のCDSは35%、海外のCDSは40%)が使われる

リカバリーロックで呈示される固定レートは、回収率の市場予想(いわゆるインプライドの回収率)と解釈することもできる。

そこでCDSの代わりとして取引され始めるのがリカバリーロックである。リカバリーロックではデフォルト確率は無視して、デフォルトした場合の回収率を直接当てっこできるわけである。別名としてリカバリースワップとも呼ばれる。

リカバリーロック取引の仕組み

リカバリーロックは債券の回収率に着目した取引であり、固定支払いサイドと変動支払いサイドの間で契約を結ぶ。

  • デフォルトが発生した場合、固定支払いサイドは契約上の固定レート参照価格 / Reference Price と呼ぶ)を元本に乗じた金額を支払う
  • デフォルトが発生した場合、変動支払いサイドは債券の処分時価最終価格 / Final Price と呼ぶ)を支払う
  • デフォルトが発生しなかった場合、受け払いは何もしないまま取引は終了する

変動支払いサイドが当該債券を保有していると、実際の処分時価が元本の60%減、つまり40%でしか処分できなかったとしても、固定レート50%のリカバリーロックを行っていれば、実質的に債券の回収率を50%に固定化できる。すなわち、

  • 持っている債券から元本の40%を受け取る
  • それをそのままリカバリーロックの固定支払いサイドに渡す
  • リカバリーロックの固定支払いサイドから、元本の50%を受け取る

現物決済と現金決済

リカバリーロックの決済方法には現物決済(フィジカルセトル)と現金決済(キャッシュセトル)がある。昨今ではCDSのオークション決済が一般化していることもあり、現金決済するのが普通だろう。

  • 現物決済では、
    • 変動支払いサイドは債券現物を引き渡す
    • 固定支払いサイドは元本に固定レートを乗じた金額を支払う
  • 現金決済では、債券現物を実際に引き渡すのではなく、差金決済を行う。つまり、
    • 債券の処分レート>固定レートとなった場合は、
      変動支払いサイドが 元本×(処分レート-固定レート)を支払う
    • 債券の処分レート<固定レートとなった場合は、
      固定支払いサイドが 元本×(固定レート-処分レート)を支払う

注意点

リカバリースワップは名前に「スワップ」が付いているが、金利スワップのように定期的に何回もキャッシュフローを交換することはなく、発生するキャッシュフローは一回きりである。

また、実際にデフォルトが発生しない限り、何もキャッシュフローは生じない、という点に注意。デフォルトしなかった場合、リカバリーロックは未使用のまま取引終了となる。

参考文献

【感想あり】CDSなどクレジット商品・クレジットリスクの勉強におすすめの本7選 (難易度順) | Quant College

あわせて読みたい

CDS(クレジットデフォルトスワップ)とは:スプレッドの仕組みをわかりやすく | Quant College

CDSのパースプレッド、ディールスプレッド、アップフロントフィー | Quant College

CDSの回収率(リカバリーレート)のコンベンション:35%か40%か | Quant College

クレジット商品の回収率リスク(リカバリーレートリスク)とは:2種類ある | Quant College

2種類の回収率:処理時リカバリーと実現リカバリー | Quant College

社債とCDSのロング/ショートの違い | Quant College

CDSスプレッドと社債スプレッドの違い | Quant College

社債の評価とクレジットスプレッド | Quant College

【わかりやすく】社債の時価評価方法と割引率の選択肢【理論価格の計算方法】 | Quant College

【仕組債の仕組みとカラクリを解説】クレジットリンク債(クレジットリンクノート、CLN)とは【SPCリパッケージスキーム】 | Quant College

クレジットリンク債と社債の違い【わかりやすく】 | Quant College

マートンモデルとは:オプションと信用リスクの2種類ある | Quant College

こちらもおすすめ

【感想あり】CDSなどクレジット商品・クレジットリスクの勉強におすすめの本7選 (難易度順) | Quant College

【初心者向け】CVA入門の体系的まとめ | Quant College

【初心者向け】CVAモデルの体系的まとめ | Quant College

QuantLib-Pythonチュートリアル(導入編)をリリースしました。 | Quant College

計算演習 確率解析(伊藤の公式編)をリリースしました。 | Quant College

金融工学関連でおすすめの本:まとめ(目次) | Quant College