CDS(クレジットデフォルトスワップ)とは:スプレッドの仕組みをわかりやすく

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CDS(クレジットデフォルトスワップ)とは

CDSはCredit Default Swapの略で、企業や国のデフォルト(倒産)に対する保険のようなものである。

企業や国が発行する債券(社債や国債)を保有している投資家にとって、債券の発行体がデフォルトすると、債券の元本が返ってこないリスクがある。債券は要するに借金なので、お金の借り手が倒産して借金を返せなくなった場合、お金の貸し手は損失を被る。この倒産リスクをヘッジするために出てきた商品がCDSである。

CDSでは特定の債券を契約上で名指しして、
「この債券がデフォルトしたら、債券投資の損失を穴埋めしてあげる
「その代わり、債券がデフォルトした場合はデフォルト時点まで、あるいは、デフォルトしない場合はCDSの満期まで、一定額の保険料を払い続けてもらう

という契約を交わす。

プロテクションのロング、ショートとは

CDSにおいて、

  • デフォルトによる損失を穴埋めするサイドを、プロテクションのセラー(デフォルト保険の売り手や、プロテクションのショート(売り)ポジションという。
  • デフォルト時点かCDS満期まで保険料を払い続けるサイドを、プロテクションのバイヤー(デフォルト保険の買い手や、プロテクションのロング(買い)ポジションという

CDSにおいて各サイドが何をするのかまとめると、

  • プロテクションのセラーは、CDS契約で指定されている債券がデフォルトした場合、債券の元本のうち返済されない部分に対応するキャッシュフロー(保険金)を、プロテクションのバイヤーに支払うイメージとしては保険会社のようなもので、何も起きなければお金を支払わないが、何か起きたときに補償をしてくれる。
  • プロテクションのバイヤーは、CDSの満期まで、CDS契約で指定された固定金利(保険料)をプロテクションのセラーに支払い続けるイメージとしては保険会社の顧客のようなもの。この固定金利のことをCDSプレミアムやCDSスプレッドという。また、CDSの満期が到来する前に債券がデフォルトした場合、そこでCDSプレミアムの支払いはストップする。

CDSスプレッド(CDSプレミアム)はどのように決まるか

プロテクションのバイヤーが支払い続ける固定金利(保険料)のことをCDSスプレッド、あるいはCDSプレミアムと呼ぶ。

CDSプレミアムは、セラーとバイヤーにとって公平(フェア)になるように計算される。具体的には、保険金支払いの期待値と、保険料支払いの期待値が一致するようにCDSプレミアムが決まる

保険金を支払う側が、プロテクションのセラーであり、プロテクションのセラーのサイドをProtection Leg(プロテクションレグ)と言う。プロテクションレグの期待値は、デフォルトが起きる確率と支払う保険金を掛け合わせたものになる。

保険料を支払う側が、プロテクションのバイヤーであり、プロテクションのバイヤーのサイドをPremium Leg(プレミアムレグ)と言う。CDSプレミアムを支払うサイドだからこのように言う。プレミアムレグの期待値は、デフォルトが起きない確率(生存確率)と支払う保険料を掛け合わせたものになる。デフォルトが起きたらそれ以降はプレミアムを支払う必要はないので、生存確率がゼロになって以降の保険料支払いは考慮されないことになる。

CDSプレミアムの水準は、プロテクションレグの期待値とプレミアムレグの期待値がつり合うように決まる。このようにして決まったCDSプレミアムが、マーケットではベーシスポイント(1%の100分の1)単位で呈示されている。

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