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割引率=ベースレート+クレジットスプレッド
債券の評価は、キャッシュフローを割引金利でディスカウントしたものの合計である。
国債と違って社債の場合は、割引金利を、ベース金利にクレジットスプレッドを上乗せすることで設定する。
ここで以下の2点が問題となる。
- 上乗せする対象のベース金利(ベンチマーク金利)を何にするか
- 上乗せするクレジットスプレッドをどのように決めるか
ベースレートの選択肢
⑴のベンチマーク金利の選択肢は、
- 国債のイールドカーブ
- OISイールドカーブ
- IBORイールドカーブ
(USD以外のLIBORは廃止されたが、JPYにはTIBORがある)
などがある。
どのイールドカーブをベンチマークとするかについて、実務慣行は必ずしも1つに収束していない。
クレジットスプレッドの選択肢
⑵については、
- 社債スプレッド
- CDSスプレッド(クレジットデフォルトスワップのスプレッド)
のどちらかを用いることになるだろう。
日本企業の場合は、取引されているCDSが少ないため、一部の大企業でない限り、社債発行体のCDSスプレッドを取得できない。
社債スプレッドの2つの意味
ここで、社債スプレッドには2つの意味がある。すなわち、
- 支払うクーポンに上乗せされるスプレッド
- 評価の割引金利に上乗せされるスプレッド
の2つをしっかりと区別しないといけない。
クーポンのスプレッドは、社債の契約で定められており、計算で求める必要はない。
しかし、割引金利に上乗せするスプレッドは、社債の市場価格を再現するように逆算して求めないといけない。
いま、この記事では、割引金利に上乗せされるクレジットスプレッドについて書いている。
このため、社債スプレッドを市場から取得する、ということの意味は、
社債の市場価格から、割引金利に上乗せするクレジットスプレッドを逆算して求める、ということである。
社債スプレッドの求め方
さらに、プライシング対象の社債と同じ発行体の社債価格を、市場から
- 取得できる場合
- 取得できない場合
の2つのケースに分かれる。
取得できる場合は、
- その発行体の過去の発行時スプレッドをいくつか集めてきて、それをもとに算定する
- その発行体の直近の発行時スプレッドをそのまま用いる
といった対応が考えられる。
社債スプレッドを市場から取得できない場合
取得できない場合は、その発行体の類似企業の発行する社債など、類似銘柄のスプレッドをもとに算定する、ということになる。
この場合、類似銘柄の決め方には様々な方法があるが、これまた実務慣行が1つに収束していない。
クレジットスプレッドを他の社債などから推定し、それをベンチマーク金利に上乗せして割り引く、という評価方法については、以下のような問題点がある。
- プライシング対象の社債と同じ満期、例えば10年満期の社債の発行時スプレッドを用いた場合、時間が経過して満期が9年などと短くなっても、同じ10年クレジットスプレッドを用いて評価し続けていいのか、という問題
- 社債の発行体のクレジットとは無関係の要因であっても、ベンチマーク金利が変動すると、社債の評価も変動してしまう、という問題
どちらの問題についても、なかなか実務的に解決することは困難であるようだ。
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