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クレジット・トライアングルとは
Credit Triangle(クレジット・トライアングル)とは、以下の関係式のことである。
CDSスプレッド=ハザードレート×LGD
CDSとCDSスプレッドについては以下の記事を参照。
CDS(クレジットデフォルトスワップ)とは:スプレッドの仕組みをわかりやすく | Quant College
ハザードレートについては以下の記事を参照。
ハザードレートとは | Quant College
LGDはLoss Given Default(デフォルト時損失率)である。
クレジット・トライアングルは次のような仮定を置くことで得られる。
- ハザードレートが時点によらず一定(フラット)
- クレジットと金利は独立
実際にはこれらの仮定は成り立たないため、クレジット・トライアングルはあくまで近似的にしか成立しないことになる。
ハザードレートと限界PD(デフォルト密度)の違い
ここで、クレジット・トライアングルを間違って以下のように覚えてしまっている人もいる。
CDSスプレッド=PD×LGD
PDはProbability of Default(デフォルト確率)である。
一口にPD、つまりデフォルト確率と言っても、いろんな種類のPDがあるため、これではそもそもPDが何を表しているのか不明、という問題もある。
確かにハザードレートはデフォルト確率を表す概念の一つではあるが、
ハザードレートはいわゆる累積PDや限界PDと呼ばれるものとは異なる。
ハザードレートは、現在までデフォルトが起こっていないという条件のもとで、次の瞬間にデフォルトする確率であり、条件付き確率であることに注意が必要だ。
累積PDや限界PDは条件付き確率ではない。
- 累積PD = 1.0 - 累積生存確率
- 限界PDは、累積PDを時間について微分したもの
である。
ハザードレートが λ が時点によらずフラットの場合は、
累積生存確率=exp(-λt)
限界PD=λ exp(-λt)
と簡単な形で書ける。
つまり、
限界PD=ハザードレート×累積生存確率
となる。
書き換えると、
ハザードレート=限界PD/累積生存確率
となる。
累積生存確率で割っている形なので、ハザードレートは、(社債発行体である個別企業などが)生存している(デフォルトしていない)という条件付きの確率になっていることがわかる。
さらに言うと、
- ハザードレートは限界PDとは一致しない
- ハザードレートと限界PDの差は、累積生存確率が1.0よりどれくらい小さいかによって決まる
ということがわかる。
限界PDはデリバティブのテキストではよくデフォルト密度(default density)などと呼ばれる。
このため、書き換えると、
デフォルト密度=ハザードレート×累積生存確率
ということになり、この形でクレジットリスクの本に載っていることも多い。
クレジット関連のおすすめ本は以下の記事にまとめている。
【感想あり】CDSなどクレジット商品・クレジットリスクの勉強におすすめの本7選 (難易度順) | Quant College
参考文献
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ハザードレートの関数形に関する仮定 | Quant College
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