リパッケージ債の時価評価

ざっくり説明

リパッケージ債についてはこの前に少し書いたが、ではプライシングはどうするのか。

SPC発行のリパッケージ債とCVA | Quant College
SPC発行のリパッケージ債とCVA ⑵ | Quant College

ここでは簡便的だが一般に用いられている方法を紹介する。
それは、担保として入れている債券と、デリバティブを分けて評価して、その時価の合計をリパッケージ債の評価とする、というものだ。

債券部分

まず、SPCに担保として預けている債券部分については問題ないだろう。

その債券と同じ銘柄で市場価格が取得できるものはそれを用いればよい。
JGBがもとになっているJGBリパッケージ債とかがそうだ。

市場時価がないものは、通常の債券と同様に債券のイールドカーブで債券の固定クーポンを割り引く。

デリバティブ部分

次に、SPCと証券会社の間で行なっているデリバティブ部分(アセットスワップ)の割引金利はどうするのか。

SPCとはデリバティブの担保契約を結べないので無担保なのかというと、リパッケージ債の裏付けとなっている債券が担保の役割をしていることがわかる。

債券担保の取引については、前にも書いたが、理論的にはレポレートで割り引く必要がある。

債券担保取引の割引金利 | Quant College

しかし、長期のレポレートが取得できないため、債券と同じ通貨の現金担保取引として評価するのが一般的となっている。

というわけで、結局デリバティブはOISカーブで割り引くことになる。JGBリパ債であれば円OIS割引である。

ここで、リパッケージ債に早期償還条項、いわゆるマルチコーラブル条項が付いているとややこしくなる。概要については以下の記事を参照。

コーラブルリパッケージ債とは | Quant College

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