【仕組債の仕組みとカラクリ】EB債(他社株転換社債)の時価評価(プライシング)方法

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EB債の復習

EB債は他社株転換債とも言う。

これは債券なので初めにキャッシュを投入して購入するのだが、ひとたびノックインすると、満期においてキャッシュではなく現物株で償還されてしまう。

ノックインは、参照する株価が一定水準(ノックイン価格)より下がると発生する。ノックインした場合、株価がかなり下がっている状況なわけなので、そんなときに株式で償還されてしまうというのは、投資家にとってかなり不利である。

しかし株式で償還された時点で損失が確定するわけではない。
値下がりしたままの株式を市場で売却すると損失が出る。

時価評価(プライシング)の手順

プライシングモデルにはLocal Volatilityモデルを用い、数値計算法にはモンテカルロシミュレーションを用いることが多い。

Local Volatilityモデルにはインプットとして株価のスマイルモデルを与えてあげる必要があるが、一般的なのはSVIモデルである。

以下では、プライシングモデルとしてLocal Volatilityモデルを使う場合の評価手順を記載する。より洗練されたモデルとしてはStochastic Local Volatilityモデルなどがある。

  1. スポット株価を取得する
  2. スワップレートなどからイールドカーブを作成する
  3. 配当カーブとレポカーブを作成する
  4. 株価のボラティリティサーフェイス(オプション満期×ストライク の組み合わせに対して定まるボラティリティ)を取得し、それに対してSVIなどのスマイルモデルをキャリブレーションする
  5. キャリブレーションにより決定したSVIパラメーターとそれによって生成されるモデルボラティリティサーフェイスをインプットして、Local Volatilityサーフェイスを作成する
  6. Local VolatilityサーフェイスをインプットすることでLocal Volatilityモデルをもとにしたモンテカルロシミュレーションにより、将来の株価シナリオを生成する
  7. 一つ一つのシナリオごとに、以下の判定を行う。
    1. デジタルクーポンの場合は、株価が行使価格(クーポン判定価格)を上回ったかどうかを判定する
    2. 早期償還(ノックアウト)条項が付いている場合は、利払日の数営業日前に設定されている早期償還判定日の株価が、ノックアウト価格を上回ったかどうかを判定する
    3. ノックイン条項が付いている場合は、株価がノックイン価格を下回ったかどうかを判定する。ノックインはザラ場参照(連続参照)になっている契約が多いので注意。シミュレーションされる株価の時点グリッドは、必ずしも細かく(1営業日ごと等)設定するわけではない。このため、ザラ場参照になっている場合には、シミュレーショングリッドの間隔を使って、Continuity Correctionによって調整する。すなわち、バリア水準を少し高くすることで、連続参照を離散参照とみなしてノックイン判定する
  8. 上記の判定を踏まえて、クーポンと元本償還のキャッシュフローをシナリオごとに計算する
  9. シナリオごとに時価を求め、最後に時価の平均をとる

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