【仕組債の仕組みとカラクリ】リバースフローター債とは

ざっくり回答

リバースフローター債(Reverse Floater Note/Bond)とは、クーポンが変動金利と逆の動きをする仕組債である。変動金利としてはLIBORを参照するものが多い。

  • LIBORが上がるとクーポンは下がる
  • LIBORが下がるとクーポンは上がる

名前としては、以下のように呼ばれることもある。
・略して、リバフロ
インバースフローター債(Inverse Floater Note/Bond)

リバースフローター債のプライシング(時価評価)については次回の記事で見ていく。
以下ではクーポンと早期償還、そして仕組債を組成する仕組みについて記載する。

クーポン

リバースフロータークーポンは具体的に書くと以下の形をしている。

\(0.0\% \leq 1.0\% – L_i \)

\(L_i\) が変動金利で、LIBORのことが多い。

一般的な形で書くと、

\(F \leq K_i – a L_i \)

となる。

\(a\) はレバレッジで、通常は1だが、まれに2などになっている場合もある。

\(K_i\) は固定金利の部分で、
・毎回の利払いで同じレートになっている場合
・毎回の利払いで異なるレートになっている場合
の両方がある。
毎回異なる場合は、定期的に固定金利部分のレートが上がっていく(ステップアップしていく)ものが多い。

\(F\) はクーポンの下限(フロアと言う)で、0%と設定されていることが多い。つまりクーポンがマイナスになることはない、ということだ。リバースフローターは変動金利が上がるとクーポンが下がるわけなので、変動金利が上がり過ぎるとクーポンがマイナスになってしまう。仮にマイナスになると債券を保有している投資家がクーポンを支払うことになるが、普通そんな状況は想定されておらず、ゼロフロアが付いている。

場合によっては、クーポンに上限(キャップと言う)が付いていることもある。

早期償還

リバースフローター債など、金利系の仕組債にはバミューダンコーラブル条項が付いているものが多い。これは契約で定められた複数の権利行使日から、発行体が都合の良い日を選んで、その時点で早期償還できる権利である。発行体は借金しているわけだが、その借りたお金を満期が来るより前に返済できる、という条項である。

この権利を発行体に付与することはつまり、投資家サイドから見るとオプションを発行体に売っていることになる。しかし投資家はオプション価値に見合うプレミアムを一括でまとめて受け取るのではなく、毎回のクーポンに上乗せされた形で少しずつ受け取る。これによって、仕組債の利回りを高めることができる。

一方で、投資家としては予定外のタイミングで元本が返ってきて、それ以降はクーポンがもらえないわけなので、新たな投資先を見つけないといけない(再投資リスク)。

組成の仕組み

組成の仕組みは以下の通り。

  1. LIBORを参照する変動利付債をベースに考える。
  2. LIBORとリバースフロータークーポンを交換する金利スワップを間にはさむ。これでLIBORが受け払い相殺されて、リバースフローター債になる
  3. クーポンにゼロフロアやキャップが付いている場合は、LIBORのフロア取引やキャップ取引を組み合わせる
  4. コーラブル条項が付いていれば、上記2. とは受け払いが逆のリバースフロータースワップを原資産とする、(バミューダン)リバースフロータースワップションを組み合わせる

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