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解説
LIBORカーブは現在、ディスカウントカーブとプロジェクションカーブの両方で使われている。
LIBORがなくなるとこれら2種類のカーブがどちらも作り直しになる。
ディスカウントカーブについては、
金利デリバティブでは、もはや無担保取引くらいにしか使われていない。
一方で、為替デリバティブ、株式デリバティブ、クレジットデリバティブ、一部の債券や証券化商品では、いまだにLIBORディスカウントが行われている。
したがって、これらの商品については、ディスカウントをRFRカーブに切り替える必要がある。
プロジェクションカーブについては、
LIBORを参照するスワップの変動金利の評価に用いられている。
これらスワップはRFRスワップに置き換わるため、当然ながらRFRカーブに切り替える必要がある。
結局のところ、ディスカウントカーブとプロジェクションカーブがどちらもRFRカーブになることから、
昔のシングルカーブに逆戻りする、と言っている人もいるようだ。
しかしながら、担保通貨ごとにディスカウントカーブを使い分ける慣行は変わらないため、ディスカウントのマルチカーブは残ることになる。
ここで重要なトピックとして、将来的にはターム物RFRの商品が出てくるだろう、という点がある。
現在の市場で見えているOISのクォートから、みんなRFRカーブを作っているが、これはテナーがオーバーナイトのカーブである。
円であればTONARカーブだが、これはつまりTONAR1Dカーブであり、テナーが1日のカーブである。
一方で、ターム物RFRスワップの流動性が高まってくると、それらのクォートからターム物RFRカーブを作れるようになる。
ターム物RFRカーブとは、例えば、TONAR6MカーブやTONAR3Mカーブなどである。
そうなるとおそらく、いまのLIBORと同様、ターム物RFRのテナーベーシス市場が出てくるだろう。
もしそうなれば、ターム物RFRカーブは、テナーごとに異なるカーブを生成する必要がある。
ここまで来ると、いまのLIBORがターム物RFRに置き換わり、同じようなカーブ生成の手順になる。
つまり、
・ディスカウントは担保金利であるオーバーナイトテナーのRFRカーブで行う
・変動金利の評価は、取引のテナーに合ったターム物RFRカーブを使って行う
ということになる。
しかしながら、現在のISDA案では、フォールバックがターム物RFRではなく、後決め複利RFRになっている。
それを踏まえると、
・既存取引は後決め複利RFRに置き換わるが、
・新規取引については、将来的にはターム物RFRがメジャーになっていく、
ということかもしれない。
参考文献
スワップ取引のすべて(第5版) 実践デリバティブ: Excelでデータ分析 Interest Rate Swaps and Their Derivatives: A Practitioner’s Guide (Wiley Finance Book 510) (English Edition) Interest Rate Derivatives Explained: Volume 1: Products and Markets (Financial Engineering Explained) (English Edition)
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