実務で使われている金利の期間構造モデルは?

こちらもおすすめ

金融工学関連でおすすめの本:まとめ(目次) | Quant College

【随時更新】金利の期間構造モデルを勉強するのにおすすめの本:7冊 | Quant College

金融工学・デリバティブの独学におすすめのわかりやすい本・教科書:初心者向けの16冊 | Quant College

【初心者向け】LIBOR廃止とRFR移行の体系的まとめ | Quant College

LIBOR廃止とRFR移行のまとめ(後編)をリリースしました。 | Quant College

【初心者向け】CVA入門の体系的まとめ | Quant College

【初心者向けにわかりやすく解説】CVAモデルの体系的まとめ(前編) | Quant College

マーケットコンベンションのまとめ(メジャー通貨のスワップ編)をリリースしました。 | Quant College

金利モデルには2種類ある

金利モデルは2種類に分かれる。

  • アセットモデル
  • 期間構造モデル

金利の期間構造モデルとアセットモデル | Quant College
金利の期間構造モデルとアセットモデル ⑵ | Quant College

アセットモデルは、イールドカーブをバラバラに切って、期間ごとの金利を別々にモデリングするもの。典型例はSABRモデルで、金利の期間ごとに異なるSABRパラメーターを用いる。どの期間の金利も数式としては同じダイナミクスを用いるが、使うパラメーター値が期間ごとに異なる。これはイールドカーブ全体を一つにまとめてモデリングしていないことを示している。
アセットモデルはバニラオプションの評価に用いる。バニラオプションとは、基本的なコールオプションとプットオプションのことである。

これに対して、期間構造モデルは、イールドカーブ全体を一つにまとめてモデリングする。共通のパラメーター値から作成されたイールドカーブから、各期間の金利が事後的に計算される。
期間構造モデルはエキゾチックオプションの評価に用いる。エキゾチックオプションの典型例はバミューダンスワップションであり、バミューダンリバースフロータースワップション(リバフロ)、バミューダンCMSスプレッドスワップションなど様々な種類がある。

以下では期間構造モデルのほうに焦点を当てて解説する。

実務でよく使われている金利期間構造モデルは?

実務でよく見かける金利の期間構造モデルは、以下の通り。

  • Hull-Whiteモデル(ワンファクター)
  • Cheyetteモデル
  • Shifted LIBORマーケットモデル

特にワンファクターHull-Whiteモデルが多い。
以前はLIBORマーケットモデルが多かったが、現在はHull-Whiteモデルの方が多い印象だ。

その他に見かけたことがあるのは、

  • HaganのLGMモデル
  • マルコフ関数モデル
  • G2++モデル

などである。

実務であまり使われていない金利期間構造モデルは?

金利モデルの教科書には、多くの期間構造モデルが載っているが、そのほとんどは実務であまり使われていない、という現実がある。

時間がないのであれば、実務で使われていないモデルのページはさっさと読み飛ばせばいいだろう。

教科書によく載っているが、実務ではあまり使われていないモデルは、以下の通り。

  • Ho-Leeモデル
  • Vasicekモデル
  • HJMモデル
  • Black-Karasinskiモデル
  • CIRモデル

Ho-LeeモデルVasicekモデルは、シンプルすぎて実務での応用に耐えられない

HJMモデルは必ずといっていいほど教科書に載っているが、これはモデルというよりフレームワークであり、ほとんどのショートレートモデルがこれに含まれてしまう。
HJMのフレームワークはある意味教養として学んでおいた方がいいが、それだけを学んでも、実務で使われている期間構造モデルを習得できるわけではない。

Black-Karasinskiモデルは、昔、主要通貨も高金利だった頃は、けっこう使われていたが、現在の低金利環境下では金利モデルとしてあまりフィットしない。マイナスに行かないという特徴があるので、現在ではクレジットモデルとして用いられていることがある

CIRモデルもよく教科書に載っているが、金利モデルとして使うことはまずない。マイナス金利を扱えないからだ。
CIRモデルは実務では、Black-Karasinskiモデルと同様、クレジットモデルとして一般的によく使われている。ハザードレートは(条件付き)確率なので、むしろマイナスに行っては困るからだ。

参考文献

Stochastic Interest Rates (Mastering Mathematical Finance)

Interest Rate Derivatives Explained: Volume 2: Term Structure and Volatility Modelling (Financial Engineering Explained) (English Edition)

あわせて読みたい

金利モデルの分類 | Quant College

LIBOR6MとLIBOR3Mは異なる原資産 | Quant College

金利の期間構造モデルは多資産モデル | Quant College

低次元マルコフモデルとマーケットモデル | Quant College

低次元マルコフモデルとマーケットモデルの違い まとめ | Quant College

【金利期間構造モデルをわかりやすく】HJMモデルとは(Heath-Jarrow -Mortonフレームワーク、ヒース・ジャロー・モートンモデル) | Quant College

伝統的なHull-Whiteモデルとは | Quant College

【金利の期間構造モデル】モダンなハルホワイトモデル (Hull-Whiteモデル) とは【キャリブレーション】 | Quant College

【金利の期間構造モデル】平均回帰パラメーターのキャリブレーション方法【ハルホワイトモデル】 | Quant College

マルコフ関数モデル (Markov Functional Model) の特徴 | Quant College

マルコフ関数モデル (Markov Functional Model)のキャリブレーション | Quant College

こちらもおすすめ

金融工学関連でおすすめの本:まとめ(目次) | Quant College

【随時更新】金利の期間構造モデルを勉強するのにおすすめの本:7冊 | Quant College

金融工学・デリバティブの独学におすすめのわかりやすい本・教科書:初心者向けの16冊 | Quant College

【初心者向け】LIBOR廃止とRFR移行の体系的まとめ | Quant College

LIBOR廃止とRFR移行のまとめ(後編)をリリースしました。 | Quant College

【初心者向け】CVA入門の体系的まとめ | Quant College

【初心者向けにわかりやすく解説】CVAモデルの体系的まとめ(前編) | Quant College

マーケットコンベンションのまとめ(メジャー通貨のスワップ編)をリリースしました。 | Quant College