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ざっくり解説
モダンなハルホワイトモデル(Hull-Whiteモデル。HWモデルと略記される。)にはいくつかのバリエーションがあるが、ここではGSRモデルを取り上げる。Gaussian Short Rateモデルや、Generalized Short Rateモデルといわれる。GSRモデルの詳細はAndersen-Piterberg本にある。
伝統的なHWモデルと比べて、モダンなHWモデルの違いは次の通り。
- ショートレートをガウシアンファクターx(t)とシフトパラメーターPhi(t)の和として表す。ガウシアンファクターはTheta=0の伝統的なHWモデルに従う。
- 将来時点の割引債価格式において、Thetaの部分をあらかじめTodayの割引債価格で置き換える。
- ボラティリティパラメーターのSigmaはフラットではなくPiecewise Constantとする。
1. は、伝統的なHWモデルのパラメーターThetaに対応するものをガウシアンファクターから分離して、新しくPhiと名付けているだけである。これにより式展開の見通しがよくなる。
2.は、Thetaの解析式があるのであれば初めからそれを代入した後の式を使おう、ということである。Thetaの解析式はTodayの割引債価格を用いて表されるため、結局はThetaの代わりに基準日時点の市場で観測される割引債価格を用いて表現される。
3.は、HWの原論文ではコンスタントになっていたパラメーターSigmaを時点に依存するようにしている。これにより動かせるパラメーターの数が増えるので、バミューダンコーラブルの権利行使日の数だけあるSigmaを、同じ数だけあるコターミナルスワップション価格に、完全に合わせることができる。Kappaはフラットにして適当な値を設定し、Sigmaは手前から1つずつブートストラップにより求めることができるため、伝統的なHWモデルとは違ってキャリブレーションにおける最適化が不要になる。
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