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前提知識
金利の期間構造モデルには大きく分けて2種類ある。
- Hull-Whiteなどの低次元マルコフモデル
- LMM (Libor Market Model) などのマーケットモデル
低次元マルコフモデルとマーケットモデル | Quant College
低次元マルコフモデルとマーケットモデルの違い まとめ | Quant College
また、金利は
・低金利になるほど正規分布に近づいていく
・高金利になるほど対数正規分布に近づいていく
ことが知られている。
低次元マルコフモデルは正規分布型が多い
ショートレートモデルなどの低次元マルコフモデルでは、金利のモデリングを正規分布型で話を進めることが多い。
もっとも、昔のように高金利の環境では、Black-Karasinskiモデルなど、ショートレートを対数正規分布型でモデリングするものも使われていたようだ。しかし昨今の低金利の環境では特に、低次元マルコフモデルは、正規分布型でモデリングすることが多い。
昨今の低金利環境では、以下のような考えで、ショートレートモデルは正規分布型で使われている。
- 金利が低いので、金利の分布が正規分布に近くなることを踏まえて、正規分布型にする
- どれだけマイナス金利が深堀りされても対応できるように、正規分布型にする
マイナス金利への対応は、正規分布型にするか、対数正規分布型をシフトさせる (Shifted Lognormal) かの2通りがある。
マイナス金利対応 | Quant College
マーケットモデルは対数正規分布型をベースに作られてきた
一方で、LMM (Libor Market Model) などのマーケットモデルでは、対数正規分布型でモデリングする文献が多く、正規分布型のマーケットモデルはあまり見かけない。
【簡単にわかりやすく】Liborマーケットモデルとは | Quant College
これは、LMMが流行ったころはまだ欧米も比較的高金利で、対数正規分布をベースに考えることが多かったからかもしれない。あとは、対数正規分布をベースにすれば、シフト幅を導入することで容易にスキューを表現できるから、というのもあるだろう。
もちろん、昨今のマイナス金利環境では、LMMはスキューよりもむしろマイナス金利に対応するために、シフト幅を導入することでShiftedLMMとして用いられている。これは、シフトしたら対数正規分布型になるものだから、結局、対数正規分布型だ。
Shifted Liborマーケットモデル | Quant College
しかし金利に対してシフト幅が大きい場合は、Shifted対数正規分布型(Shifted Lognormal型)の金利の分布は、対数正規分布よりも正規分布に近くなる。
ShiftedLognormal分布 | Quant College
もちろん、対数正規分布型といっても、LMMでは、シフト幅に加えて、確率ボラティリティを導入する (SVDD-LMM) ことが多いため、1つ1つのLIBORがそれぞれのフォワードメジャーのもとで、きれいな対数正規分布に従うわけではない。
Liborマーケットモデル: マイナス金利とスマイル | Quant College
まとめ
というわけで、昨今使われているモデルは、以下のどちらかのパターンが多い。
- 正規分布型の低次元マルコフモデル(Hull-Whiteモデルなど)
- シフトさせた対数正規分布型のマーケットモデル(ShiftedLMMなど)
参考文献:より深く学びたい方は
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