Rebonatoのパラメトライゼーション

前回はLiborマーケットモデルのパラメーターはあまりにもたくさんあることについて確認した。

 
Liborのボラティリティのパラメーターは、Liborの数だけあり、さらに、ひとつひとつのLiborのパラメーターを時点に依存させると、さらにパラメーターの数が増える。i番目のフォワードLiborのボラティリティをσ_i (t)とすれば、これは時点に依存しており、ピースワイズコンスタントにすると、パラメーターは区間の数だけある。さらにσ_i自体がiに依存してLiborの数だけあるので、パラメーターはかなり数が多くなる。
 
さらに、Libor間の相関は、期間の異なるフォワードLiborの組み合わせの数だけある。これらを1つずつ別の値として推定すると、数が多すぎて推定結果の時系列が不安定になるだろう。
 
そこで出てくるのがRebonatoのパラメトライゼーションである。モチベーションは、
 
・Liborのボラティリティと相関の全体の大まかな構造をざっくり表現しつつ、
・動かすパラメーターの数をできるだけ減らしたい、
 
というものである。
ボラティリティと相関についてそれぞれ、Liborたちを観測する時点tについての関数形が提唱されている。
 
まず、ボラティリティの関数形は、
 
σ_i (t) = σ_i (a+b(T_i – t))exp(-c(T_i – t)+d)
 
である。ここで、T_iはLiborのフィキシング時点で、そこからtを差し引いたものはLiborの残存期間である。
 
・a,b,c,dの4つは、全てのLiborに共通のパラメーター
・σ_iだけが、Liborによって異なるパラメーター
 
である。こうすることで、Liborが1つ増えても、a,b,c,dは共通なので、追加されるパラメーターは1つだけになる。
 
Liborを観測する時点が変わっても、同じLiborを観測している限り、そのボラティリティのパラメーターは変わらない。つまり、観測時点が前進することによるボラティリティの変化を、4つのパラメーターで定めており、その4つのパラメーターは全てのLiborについて共通なのである。
 
次に、相関の関数形は大きく分けて2つあり、
ひとつめの指数関数型は、
 
ρij = exp(-β(Ti – Tj))
 
である。つまり、Liborのフィキシング時点の差分に依存しており、その差分が大きくなるほど相関が下がる。
 
もうひとつめの三角関数型は、
 
ρij = cos(α(Ti – Tj))
 
である。これも同様にフィキシング時点が離れているLiborほど相関が下がる。
 
このように、相関に関数形を仮定することで、Liborの数が増えて相関ペアの組み合わせが増えても、パラメーターが増えないし、パラメーターの数をかなり減らすことができる。

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