Liborマーケットモデルのパラメーターとは

Liborがなくなった後は、後決めのオーバーナイトインデックスに置き換わる可能性が高い。

しかしながら、後決めレートになった後も、少し修正するだけでLiborマーケットモデルが使える、との論文が少し前にリスクマガジンに出ていた。そうなるともはやLiborマーケットモデルではなく、RFRマーケットモデルと呼ぶべきな気もする。
 
今後も引き続き使われる可能性の高いLiborマーケットモデルのキャリブレーションについて全体感を確認する。
 
まずは、マーケットレートにキャリブレーションするパラメーターを特定しないといけない。キャリブレーションするパラメーターは、
・フォワードLiborのボラティリティのパラメーター
・フォワードLibor間の相関のパラメーター
の2種類ある。
 
さらに、これらボラティリティと相関は、それぞれに関数形の選択肢が複数ある。この関数形を決めることをパラメトライゼーション, parametrizationという。
 
まず、ボラティリティのパラメトライゼーションには、大きく分けて2つある。
・ピースワイズコンスタント
・Rebonatoの方法
 
さらに、相関のパラメトライゼーションには、大きく分けて、
・Rebonatoの方法⑴ 指数関数型
・Rebonatoの方法⑵ 三角関数型
がある。つまり、Rebonatoが複数の方法を提唱している。
 
以下ではまず、ボラティリティのピースワイズコンスタントなパラメトライゼーションを見ていく。
 
ピースワイズコンスタントは、フォワードLiborのボラティリティがタイムグリッドの区間数だけあるとして、それらが全て定数だとする。
 
最長満期を30年として、Libor6Mをモデリングする場合、ひとつのLiborに対して、30*2=60個の区間数がある。さらに、フォワードLibor自体が区間の数だけあるので、さらにボラティリティの数が増える。
 
しかしながら、時点が進むと手前のLiborがフィキシングされて、モデルから消えていくことに注意が必要だ。このため、
・すぐにフィキシングされる、手前のLiborほどボラティリティの数は少なく、
・時間が何十年も経過しないとフィキシングされない、20年後スタート20.5年後エンドのLiborなど、長いところのLiborほどボラティリティの数が多い、
ということになる。
 
Liborマーケットモデルとの対比としてハルホワイトモデルの場合を考えるとよい。ハルホワイトモデルではファクターが1つしかないが、この1つのファクターについて、ボラティリティをピースワイズコンスタントにしていた。
一方、Liborマーケットモデルでは、ファクターであるLiborがいっぱいあるので、それらひとつひとつについて、ハルホワイトモデルと同様にピースワイズコンスタントを仮定すると、ボラティリティのパラメーターが飛躍的に増えるのは想像がつくだろう。

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