Liborマーケットモデルのキャリブレーション対象

他の金利モデルと同様、可能性は3つある。

 

⑴キャップレット・フロアレットに合わせる
⑵スワップションに合わせる
⑶キャップレット・フロアレット、スワップションの両方に合わせる
 
⑴の場合、合わせるのがLiborのボラティリティであるため、Liborマーケットモデルのパラメーターのうち、ボラティリティのパラメーターをこれに合わせるのは比較的容易である。
 
しかし気をつけるべきなのは、
・マーケットのボラティリティはインプライドボラティリティなので、基準日からフィキシング日まで平均してならしたボラティリティであるが、
・モデルのボラティリティは、観測時点に依存する瞬間ボラティリティである、
という点だ。
 
モデルのボラティリティをフィキシング日まで積分してフィキシング日までの期間で割ったものが、マーケットボラティリティである。
モデルのボラティリティは時間の関数であり、前もってこの関数形を何かしら定めるので、積分も求まる。ピースワイズコンスタントの場合は容易にボラティリティのパラメーターを逆算できるだろう。
 
しかし⑴だと、異なるLibor同士の相関の情報が、キャップレット・フロアレットには含まれていない。
相関の情報はスワップションに入っていると考えることができる。なぜなら、スワップションはLiborのポートフォリオであるスワップレートのオプションだからである。ポートフォリオのボラティリティには、その構成要素の各ボラティリティと相関の情報が含まれている。
 
インプットである相関のパラメーターを決めるためには、⑵や⑶のようにスワップションをキャリブレーション対象に含めることになる。
 
⑵や⑶で、スワップションに合わせるために問題となるのは、
・マーケットのボラティリティはスワップレートのボラティリティだが、
・モデルのボラティリティはLiborレートのボラティリティである、
ということである。
 
スワップレートの構成要素であるLiborレートひとつひとつの
・ボラティリティと、
・それらの間の相関から、
なんとかしてスワップレートのボラティリティを求めないといけない。
 
この、
・スワップレートのボラティリティと、
・Liborレートのボラティリティ
の間を橋渡しするのが、Rebonatoの公式であり、次回の記事で書こう。

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