Rebonatoの公式は、Liborマーケットモデルのスワップションへのキャリブレーションに用いる。
スワップションボラティリティを、Liborのボラティリティと、Libor間の相関で書き直した近似式である。厳密な解析解ではないことに注意。
よくある対数正規型のLiborマーケットモデルでは、フォワードLiborたちが、それぞれ別の確率測度で対数正規分布に従う。
どれかひとつの測度にそろえたとき、そのもとでフォワードスワップレートは対数正規分布に従わない。
なので、スワップレートのBlackボラティリティは、LiborのBlackボラティリティを用いて解析的に出るわけではない。
よって何らかの方法で近似するしかないのである。
スワップレートはLiborの加重和であるため、スワップレートの分散は、Libor間の共分散あるいは分散に、ウェイトをかけて足し合わせたものになる。
あとは以下の2つの近似を行えば、Rebonatoの公式が出てくる。
⑴フォワードLiborたちにかかるウェイトは、本当はイールドカーブの観測時点に依存するが、これを計算基準日における値で固定することにより近似する。
⑵フォワードLiborとスワップレートの比率も、本当はイールドカーブの観測時点に依存するが、これを計算基準日における値で固定することにより近似する。
⑵がなぜ必要かというと、スワップレートのBlackボラティリティを求めたいので、スワップレートの変化率の形にする必要がある。
・変化率の分子の、スワップレートの変化幅は、フォワードLiborの加重和で表せている。
・あとはそれをスワップレートで割ると変化率になる。
このため、変化率を求めることで、フォワードLiborとスワップレートの比率が出てくるのである。
この比率は当然、確率的に動いているので、固定できないはずだ。ところが、イールドカーブの変動の大半がパラレルシフトで説明できることを思い出すと、イールドカーブの幅広い区間全体の動きは、その区間に含まれるより小さい区間の変動と、同じように動くはずである。そこで、これらの比率はあまり変動しないとの仮定を置いて、今日の値で固定してしまうのである。
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