ノックインフォワード

個別株の商品でよくあるものにノックインフォワードがある。

これはバニラコールオプションの買いとノックインプットの売りの組み合わせである。
 
ダウンバリアを株価が下回ると、ノックイン条項が発動してプットオプションの売りが発生する。
つまり、コールの買いとプットの売りなのでフォワードの買いになる。
このようにコールの買いとプットの売りで合成したフォワードのことをシンセティックフォワードということがある。
 
しかし契約書にはフォワードになるとは書かれておらず、コールの権利行使が義務になる、と書かれている。
つまり、株価がストライクを上回っていても、下回っていても、必ずコールオプションを行使しなければならない。
したがって、ペイオフは株価からストライクを差し引いたものであり、これはフォワードそのものである。
株価がストライクを上回っていれば当然、権利行使して利益が出るのだが、ストライクを下回っていれば、普通のコールオプションでは権利行使する必要がない。損失が出るからだ。
しかし、権利行使が義務になると、損失が出る状況でもお構い無しに行使しなければならない。
オプションは権利だが、フォワードは義務なのである。
 
個別株だとヒストリカルから推定したボラティリティが年率70%などと非常に高いため、シミュレーション上、ほとんどのシナリオでこのダウンバリアにヒットするが、わずかな確率で、ヒットしない場合がある。
ノックインしない場合は普通のコールで株価が高く推移しているので、満期が長いと、かなり大きなプラスのペイオフが得られる。
このように、ノックインしない確率はかなり低いのだが、実際にノックインしなかった場合、かなり大きなプラスのペイオフが発生する。
このようなケースは、シミュレーション結果が安定しなくなる典型例である。
 
しかしながら、行使は満期でしか行わないと仮定すれば、ブラックショールズモデルで解析解が使える。つまり、バニラコールとノックインプットをどちらも解析解で評価して、その差分をとればノックインフォワードの評価となる。
しかし実際には、行使可能期間ならいつでも行使できるとか、他にもいろいろな条件が付いているため、シミュレーションをせざるを得ない場合も多い。

—–