離散配当のカーブを構築する方法は以前に書いた。
問題になるのは、市場から取得できない、比較的長期のグリッドにおける予想配当をどう設定するか、である。つまり配当カーブの補外方法が問題である。
長い満期の商品は、ピュアなエクイティ商品だとほとんど無いが、クーポンが株価にリンクするエキゾチックスワップはかなり長期の商品なので問題となってくる。
見かけたことのある配当カーブの補外方法は以下の3つだ。
⑴配当成長率カーブを設定して、それを手前で見えている配当にかけることで、離散配当を求める
⑵取得できる最長満期以降の配当には、離散配当ではなく、連続複利で一定の配当利回りを用いる
⑶フォワード株価のカーブと金利のカーブから逆算する
⑴の方法
以前に書いたのは、配当の成長率を、グリッドごとに長いところまで設定して、市場から取得できるグリッドの配当に、その成長率をかける、というものである。
これにより、長いところまで予想配当が設定されることになる。
あとはこの成長率をどのように決めるかが問題になるわけだが、
実際にはフロントのディーラーが適当に設定しているケースが多いだろう。いわゆるディーラーマークというやつだ。
⑵の方法
これは、長いところは離散配当をあきらめて、連続配当とする方法である。
これも連続配当率の設定はディーラーマークとなるが、それに加えて、離散配当から求めるフォワード株価の最長満期を、どこに設定するか、という点にも注意が必要だ。
最長満期のフォワード株価が発射台となり、そこから連続配当で長期に引き延ばされるので、どの時点を発射台にするかで補外されたカーブの水準が変わってくる。
手前は離散配当なので、フォワード株価がギザギザに動くので、
連続配当で引き伸ばす株価の発射台が、配当落ちする直前なのか直後なのかによって、補外結果が大きく変わってくるだろう。
⑶の方法
これはそもそも長期ゾーンは配当カーブを作るのをあきらめる、という方法だ。
というのも、プライシングで必要になるのはあくまでフォワード株価であり、フォワード配当が必要になる商品はほとんどない。
配当スワップのプライシングなどでなければ、フォワード株価がわかればそれでOKなのである。
このため、配当がよくわからないゾーンは、配当をインプットするのではなく、フォワード株価をインプットとする。
フォワード株価は、バニラオプション価格とプットコールパリティから逆算できる。
この方法だと、フォワード株価を直接インプットするため、長期の配当に加えて、長期のレポレートも必要ないことになる。
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