CME公表のターム物SOFRレートとは【前決め金利】

こちらもおすすめ

【大幅改定】LIBOR廃止とRFR移行の体系的まとめ(前編) | Quant College

LIBOR廃止とRFR移行のまとめ(後編)をリリースしました。 | Quant College

マーケットコンベンションのまとめ(メジャー通貨のスワップ編)をリリースしました。 | Quant College

【感想あり】金利デリバティブ実務の勉強におすすめの本9選 (難易度順)【わかりやすい教科書】 | Quant College

金融工学関連でおすすめの本:まとめ(目次) | Quant College

【初心者向け】CVA入門の体系的まとめ | Quant College

ターム物レートとは

ターム物レートとは、金利の参照期間が1営業日より長いものである。ターム物レートの反対語は翌日物レートである。

ターム物レートで一般的なターム(参照期間)は、6カ月や3カ月である。一般的なタームは通貨や金利指標ごとに決まっている。

ターム物レートとは、6カ月間や3か月間、お金を貸し借りする際の金利ということになる。

注意として、タームごとに異なる金利が呈示される。同じターム物レートといっても、6カ月物レートと3カ月物レートでは金利水準が異なっており、別の金利指標として扱う。

反対に翌日物レートとは、1営業日だけお金を貸し借りする際の金利であり、タームは翌日物のみだから、ターム物レートのようにタームごとに異なる金利が存在するわけではない。

日本円の場合、翌日物レートはTONAであり、TONAに対応するターム物レートはTORFである。また、従来からあるTIBOR(DTIBORおよびZTIBORの2種類)もターム物レートである。TORFやTIBORはターム物ごとに異なるレートが呈示されている。TORF6MやTORF3M、TIBOR6MやTIBOR3M、といった具合である。

米ドルの場合、翌日物レートはSOFRであり、SOFRに対応するターム物レートが、ターム物SOFR(TSOFRやTermSOFRなどと書く)である。

LIBORのフォールバック先は後決め複利RFR

LIBORが公表停止されたことで、過去に約定したLIBORスワップは後決め複利RFRスワップ(いわゆるOIS)にフォールバック(移行)した。JSCCやLCHなどのCCPを通じてトレードされていたLIBORスワップは、CCPによって自動的にOISに変換された

このOISは、変動金利として後決め複利RFRを参照するものであり、ターム物RFRを参照しないことに注意。ターム物RFRを参照するスワップは、過去取引から生じるものではなく、LIBOR公表停止によって新規約定されることで発生する

加えて、デリバティブ市場での一般的慣行としては、スワップで参照する変動金利はあくまで後決め複利RFRであり、ターム物RFRではない。したがって、ターム物RFRスワップは証券会社等のマーケットメイカー間で取引されるようなものではなく、マーケットメイカーと顧客(事業会社や地銀など)の間で取引されるものである。しかし顧客サイドからすると、ターム物レートは前決め金利であることから、従来のLIBORと同じように扱うことができるため、後決め複利RFRよりもターム物RFRを変動金利として参照したい、というニーズがある

【RFRのベーシスリスク】日本円のローン(貸出)にTORFが増えてきた理由 | Quant College

ターム物SOFRはCMEが公表する

ターム物SOFRはCME(シカゴ マーカンタイル取引所)がタームごとにレートを公表している

公表されているタームは以下の通り。

  • 1カ月物
  • 3カ月物
  • 6カ月物
  • 12カ月物

米ドルの場合、一般的に使用されるタームは3カ月物である。

ターム物SOFRのイールドカーブの作り方

ターム物SOFRカーブの一般的な作り方については、まだ市場でコンセンサスが取れていないと思われるが、作り方の一例としては次のような感じになるだろう。

  1. TermSOFR3Mカーブ
    3MグリッドはスポットTermSOFR3Mレート、それ以降のグリッドはTermSOFRスワップレート、もしくは後決め複利SOFRとTermSOFRのベーシススプレッドを使う。
  2. TermSOFR6Mカーブ
    6MグリッドはスポットTermSOFR6Mレート、それ以降のグリッドはTermSOFR3MとTermSOFR6Mのベーシススプレッドを使う。
  3. TermSOFR1Mカーブ
    TermSOFR6Mカーブと同様、TermSOFR3Mからのスプレッドとして作る。
  4. TermSOFR12Mカーブ
    TermSOFR6Mカーブと同様、TermSOFR3Mからのスプレッドとして作る。

ターム(=テナー)の数だけ別のカーブが出来上がることに注意。

OISインデックス(ターム物RFR)のテナーベーシスが今後生まれてくるのか? | Quant College
ターム物RFR金利を参照するスワップとは | Quant College

しかし現状の問題としては、そもそもTermSOFRを参照するスワップレートやベーシススプレッドが、まだマーケットで十分に観測できないという点である。このため、当面はTermSOFR3Mスワップレートは後決め複利SOFRスワップレートと同じと仮定し、TermSOFRの各種ベーシスはゼロとしておき、イールドカーブ作成の計算が正しく行われることをテストする、というくらいのことしかできないだろう。

あわせて読みたい

【LIBOR廃止・RFR移行】SOFRとOISの違い | Quant College

SOFR金利の読み方 | Quant College

SOFRイールドカーブの構築 | Quant College

SOFRイールドカーブの使い道 | Quant College

【LIBOR廃止・RFR移行】ターム物TONAとは?TORFとは?TORFの読み方は? | Quant College

OIS (Overnight Index Swap) とは:後決め翌日物金利スワップ | Quant College

【LIBOR廃止・RFR移行】TONA金利とは? TONAの読み方は? | Quant College

【LIBOR廃止とRFR移行】RFRとOISの違い | Quant College

【LIBOR廃止・RFR移行】QUICK社のTORFとTONAの違い【OISの金利指標】 | Quant College

【LIBOR廃止・RFR移行】TONAとOISの違い | Quant College

【LIBOR公表停止】TORFとTIBORの違い3選【日本円の金利指標】 | Quant College

【LIBOR廃止とRFR移行】移行とフォールバックの違い | Quant College

こちらもおすすめ

【大幅改定】LIBOR廃止とRFR移行の体系的まとめ(前編) | Quant College

LIBOR廃止とRFR移行のまとめ(後編)をリリースしました。 | Quant College

マーケットコンベンションのまとめ(メジャー通貨のスワップ編)をリリースしました。 | Quant College

【感想あり】金利デリバティブ実務の勉強におすすめの本9選 (難易度順)【わかりやすい教科書】 | Quant College

金融工学関連でおすすめの本:まとめ(目次) | Quant College

【初心者向け】CVA入門の体系的まとめ | Quant College