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ギャップオプションとは

ギャップオプションは、為替デリバティブによく組み込まれている。

例えば、満期でドル円が95円より下回っていると、
100円からドル円レートを引いたものがペイオフになる

というようなオプションをギャップオプションという。この場合、

  • 95円をストライク
  • 100円をセカンドストライク

などといったりする。
ストライクは教科書では行使価格や行使レートなどと呼ばれる。

ストライク95円とセカンドストライク100円の違いは以下の通り。

  • 95円はペイオフを発生させるかどうかを決めるトリガー
  • 100円はペイオフがいくらになるかを決めるストライク

上の例では、ストライクとセカンドストライクが95円と100円で異なっている。このように、ストライクとセカンドストライクに差がある(ギャップがある)オプションをギャップオプションという

バニラオプションとギャップオプションの違い

普通のバニラオプションであれば、

満期でドル円が100円(ストライク)より下回っていると、
100円(セカンドストライク)からドル円レートを引いたものがペイオフになる。

これはストライクとセカンドストライクが一致しているのでギャップオプションではなく、単なるバニラオプション(バニラプットオプション)である。

バニラのプットと対比すればわかりやすいが、

ギャップオプションとはつまり、ある程度深くまでインザマネーにならないと、ペイオフが発生しないようなオプションだ。
逆にいうと、いったんペイオフが発生する領域に入ると、ペイオフはいきなり大きな金額が生じることになる。

ギャップオプションのプライシング(時価評価)

ギャップオプションはバニラオプションとデジタルオプションを合わせたものなので、プライシングは容易である。
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はじめの例であれば、

  • 95円ストライクのバニラプット
  • 95円ストライク、ペイオフ5円のデジタルプット

の組み合わせである。

デジタルオプションは実務では、

  • ストライクを少しだけずらしたバニラオプションのスプレッド

として評価するため、バニラオプションのプライサーを2回まわせばよい。
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したがって、1つ目のバニラと合わせて、バニラを3つプライシングすれば、ギャップオプションの評価となる。

ヨーロピアンバリアのノックインオプション

人によっては、上記のギャップオプションの例で言うと、

  • 95円をノックインバリア
  • 100円をストライク

とするヨーロピアンバリアのノックインプットオプション、と書いているケースもあるが、ギャップオプションと同じものを指している。

ここで、ヨーロピアンバリアとは、満期の1時点のみでバリアを観測する、ということである。
満期でノックインしたのでプットオプションが発生した、と考えるわけだ。

為替ターフ (FX TARF) との関係

ギャップオプションはよく為替ターフという商品のプットオプションのサイドに用いられている。
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ドル円がある程度まで下落しないと、顧客の負け分がペイオフとして実現しないのだが、ひとたびペイオフが発生すると、大きな負け分が発生することになる。

参考文献

FX Barrier Options: A Comprehensive Guide for Industry Quants (Applied Quantitative Finance) (English Edition)

FX Options and Structured Products (The Wiley Finance Series) (English Edition)

Foreign Exchange Option Pricing: A Practitioner’s Guide (The Wiley Finance Series Book 626) (English Edition)

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