【随時更新】金融工学を勉強するのにおすすめの本:初心者向けの7冊

はじめに

今回は初級編として、初心者向けの本を挙げていく。具体的には、

  • カバーされているトピックが基本的で、
  • 必要な前提知識が比較的少なく、
  • 数式の量も比較的少ない

ような本である。

それぞれの本について、かなり私見が入るが、以下の5つの観点で☆を付けている。

  • 説明のわかりやすさ:
    ☆が多いほど説明がわかりやすい
  • カバーされている範囲の広さ:
    ☆が多いほど範囲が広い
  • 前提とする実務知識の少なさ:
    ☆が多いほど必要な実務知識が少ない
  • 本文中の数式の少なさ:
    ☆が多いほど数式が少ない
  • 数式展開のわかりやすさ:
    ☆が多いほど数式展開がわかりやすい

以下、独断と偏見で、だいたいの難易度が易しい順に列挙する。

[1]

金融工学、こんなに面白い (文春新書)

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:(数式ほぼなし)
  • ポートフォリオ理論とデリバティブプライシングの基礎を数式を用いずに説明している
  • オプションの複製、リスク中立確率なども説明されており、数学の知識がない初学者でも読み切ることができる
  • 金融工学研究の歴史についても書かれているため、学習者としてはそれらを飛ばして読まないといけないが、初めて上記の内容に触れる人には良いだろう

[2]

スワップ取引のすべて(第5版)

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆☆
  • 数式は最低限に抑えられており、スワップの商品性とプライシングの基礎が学べる
  • スワップレートなどからブートストラップによりディスカウントファクター、ゼロレートを求めるなど、フロント部署で必須の基礎知識が説明されている
  • 定期的に改訂版が出ており、デリバティブに携わるセールス、ストラクチャリング、トレーダー向けに長年、売り上げが立っていると思われる
  • 最新版ではマルチカーブやCVA、FVAなどもきちんとカバーされている

[3]

デリバティブキーワード360

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆
  • これもフロント部署では持っている人が多く、定期的に改訂版が出ている
  • 実務で出てくるプロダクトがほとんどカバーされており、商品性が簡潔にまとめられている
  • 広く浅く書かれている内容なので、初学者にとっては、知らない用語を辞書的に調べるのに良いだろう
  • プライシングモデルや数値計算手法の概要など、テクニカルな内容も、基本的な内容が簡潔に説明されている

[4]

入門実践金融デリバティブのすべて

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆
  • Black-Scholes式などの基礎的内容を幅広く、直感的に説明されており、オプションプライシングの入門にも良いだろう
  • マルチコーラブルを二項ツリーで解くとか、モンテカルロシミュレーションなど、入門書にしては発展的な内容も書かれている
  • Excelシートが付いているので実務での計算イメージが付きやすい
  • けっこう数式が出てくるため、高校数学の知識は必要である

[5]

金融工学―経済学入門シリーズ (日経文庫)

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆
  • 扱っているトピックは[1] 野口と同じで、ポートフォリオ理論とデリバティブプライシングの基礎である
  • 最後に金利モデルの入門的な内容も書かれている
  • 数式の書き方が「きちんとした」書き方になっているので、数式の入ったテキストをある程度読んできた人でないと厳しいだろうが、理系学部出身者であれば問題なく読めるだろう
  • きちんとした数式を用いてはいるが、それでもできるだけ簡潔に説明している本、という位置づけである。
  • 将来的にはより高度な本も読みたいが、ひとまず基礎を固めたい、という人におすすめ。

[6]

フィナンシャルエンジニアリング〔第9版〕 ―デリバティブ取引とリスク管理の総体系

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆☆
  • 金融工学の中でもデリバティブ評価の入門書としてグローバルスタンダードになっている、ジョンハル本の和訳版
  • クオンツに限らず、オプショントレーダーもみんな持っている
  • 非常に幅広い内容が網羅されており、広く浅く書かれているが、たいていのことは載っている
  • ひとつひとつの内容は浅いものの、うまくまとまっており素晴らしい
  • 特徴としては、具体的な数値例が豊富なのでイメージがつきやすい点
  • とにかく分厚い鈍器だが、初学者は辞書的に使えばいいだろう
  • 後半の章、金利モデルのあたりからは数式が結構出てくるので注意

番外編

以下は洋書だが、大変おすすめのものである。

The Front Office Manual: The Definitive Guide to Trading, Structuring and Sales (Global Financial Markets)

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆☆
  • 金利、為替、株式、債券・クレジット、それぞれについてマーケットコンベンションがうまくまとまっている、貴重な本
  • 実務ですぐ使える内容を、これだけ幅広く網羅している入門書は他にないため、かなりおすすめ
  • 金利は、デイカウントコンベンション、イールドカーブのブートストラップ、通貨ベーシス、SABRモデル入門、など
  • 為替は、スワップポイント、デルタのコンベンション、Vanna-Volga法入門、など
  • 株式は、配当やレポレートの取り扱い、株式オプション、など
  • 債券・クレジットは、社債のクレジットスプレッド、アセットスワップ、CDS、など

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