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はじめに

今回は初級編として、初心者向けの本を挙げていく。具体的には、

  • カバーされているトピックが基本的で、
  • 必要な前提知識が比較的少なく、
  • 数式の量も比較的少ない

ような本である。

それぞれの本について、かなり私見が入るが、以下の5つの観点で☆を付けている。

  • 説明のわかりやすさ:
    ☆が多いほど説明がわかりやすい
  • カバーされている範囲の広さ:
    ☆が多いほど範囲が広い
  • 前提とする実務知識の少なさ:
    ☆が多いほど必要な実務知識が少ない
  • 本文中の数式の少なさ:
    ☆が多いほど数式が少ない
  • 数式展開のわかりやすさ:
    ☆が多いほど数式展開がわかりやすい

以下、独断と偏見で、だいたいの難易度が易しい順に列挙する。

[1] 難易度:入門レベル

金融工学、こんなに面白い (文春新書)

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:(数式ほぼなし)
  • ポートフォリオ理論とデリバティブプライシングの基礎を数式を用いずに説明している
  • オプションの複製、リスク中立確率なども説明されており、数学の知識がない初学者でも読み切ることができる
  • 金融工学研究の歴史についても書かれているため、学習者としてはそれらを飛ばして読まないといけないが、初めて上記の内容に触れる人には良いだろう

[2] 難易度:入門レベル

金融市場のための統計学

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆☆☆
  • 金融実務で使う内容に絞って確率/統計をわかりやすく解説した良書
  • 言葉を尽くした丁寧な説明が特徴
  • 研修で質問の多かった点をまとめたコラムも、初心者にとって有用
  • ポートフォリオ理論,Black-Scholesモデル,VaRを取りあげており実践的
  • 効率的に確率/統計を学びたい金融マンにおすすめ

[3] 難易度:入門レベル

よくわかるファイナンス

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆☆
  • ファイナンス理論全般に入門するならこれがおすすめ
  • 数式少なめで言葉での説明がわかりやすい
  • 割引現在価値や平均,分散の話に始まり、ポートフォリオ理論,MM理論などコーポレートファイナンス,オプション評価入門までカバー
  • 発展的な内容は付録にまとまっている

[4] 難易度:入門~初級レベル

デリバティブキーワード360

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆
  • これもフロント部署では持っている人が多く、定期的に改訂版が出ている
  • 実務で出てくるプロダクトがほとんどカバーされており、商品性が簡潔にまとめられている
  • 広く浅く書かれている内容なので、初学者にとっては、知らない用語を辞書的に調べるのに良いだろう
  • プライシングモデルや数値計算手法の概要など、テクニカルな内容も、基本的な内容が簡潔に説明されている

[5] 難易度:入門~初級レベル

デリバティブズ・ビジネスI

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆☆
  • 株式デリバティブの実務家向け入門書
  • 数式は最小限で読みやすく、説明も平易でわかりやすい
  • 少々古い本だがヘッジトレードなど実務的な話題が多くておすすめ
  • 先物やオプションの基本から始まり、優先株、EB、CB、MSCBなど株式デリバを組み込んだ商品も平易に解説

[6] 難易度:入門~初級レベル

スワップ取引のすべて(第5版)

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆☆
  • 数式は最低限に抑えられており、スワップの商品性とプライシングの基礎が学べる
  • スワップレートなどからブートストラップによりディスカウントファクター、ゼロレートを求めるなど、フロント部署で必須の基礎知識が説明されている
  • 定期的に改訂版が出ており、デリバティブに携わるセールス、ストラクチャリング、トレーダー向けに長年、売り上げが立っていると思われる
  • 最新版ではマルチカーブやCVA、FVAなどもきちんとカバーされている

[7] 難易度:入門~初級レベル

トレーダーは知っている-オプション取引で損をしない「法則」-

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  (数式ほぼなし)
  • 経験豊富なトレーダーがオプション取引を解説する貴重な和書
  • 数式はなく語り口も読みやすい
  • SABRモデルの使い方やパラメーターの意味がわかる
  • 付属のExcelにはSABRのVBA実装や、過去データを用いたオプションの模擬トレード機能が付いてる

[8] 難易度:初級レベル

スワップの価格はこうして決まる―金融職人技シリーズ (四熊ブックス)

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆☆
  • 債券数理を丁寧に解説した貴重な和書
  • 細かいコンベンションも学べて実務的
  • ディスカウントファクターやフォワードレートの計算を例題で説明
  • FRA、金利先物、スワップからのイールドカーブ構築方法など
  • 古い本だがシングルカーブの基本を押さえるのによい

[9] 難易度:初級レベル

Pythonによる ファイナンス入門 (実践Pythonライブラリー)

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆☆
  • Pythonで金融工学を学べる数少ない和書
  • 数式による基本的な理論の説明が多く、実務的というより大学の教科書的な内容
  • 割引キャッシュフロー法と債券数理に始まり、内容はポートフォリオ理論がメイン
  • オプション評価は入門のみであり、アルゴリズムトレーディングは取り扱い無し
  • サンプルコードの説明が詳しい
  • Pythonの使用経験があり、コードを読みながら金融工学に入門したい人におすすめ

[10] 難易度:初級~中級レベル

実務家のためのオプション取引入門

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆☆
  • 実務家向けオプション本の決定版
  • 理論と実務をバランス良くわかりやすく説明されている
  • 数値例で様々な裁定取引を例示するなど実践的
  • 終盤ではVIX指数とボラティリティデリバティブまでカバーしている
  • 微積と確率の知識が必要だが、数式を飛ばして読んでも十分有益

[11] 難易度:初級~中級レベル

入門実践金融デリバティブのすべて

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆
  • Black-Scholes式などの基礎的内容を幅広く、直感的に説明されており、オプションプライシングの入門にも良いだろう
  • マルチコーラブルを二項ツリーで解くとか、モンテカルロシミュレーションなど、入門書にしては発展的な内容も書かれている
  • Excelシートが付いているので実務での計算イメージが付きやすい
  • けっこう数式が出てくるため、高校数学の知識は必要である

[12] 難易度:初級~中級レベル

実践デリバティブ: Excelでデータ分析

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆
  • ジョンハル本の内容を短く圧縮したような本
  • 金利/為替/クレジットにおけるバニラ商品の評価についてまとまっている
  • 読むのに必要な数学は高校の数III/数Cレベルくらい
  • 為替で一般的なデルタでのクォートやVannaVolga法を日本語で解説している本として貴重
  • 実務で重要なCVA/マルチカーブ/マイナス金利も少しずつ言及あり

[13] 難易度:中級レベル

金融工学―経済学入門シリーズ (日経文庫)

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆
  • 扱っているトピックは[1] 野口と同じで、ポートフォリオ理論とデリバティブプライシングの基礎である
  • 最後に金利モデルの入門的な内容も書かれている
  • 数式の書き方が「きちんとした」書き方になっているので、数式の入ったテキストをある程度読んできた人でないと厳しいだろうが、理系学部出身者であれば問題なく読めるだろう
  • きちんとした数式を用いてはいるが、それでもできるだけ簡潔に説明している本、という位置づけである。
  • 将来的にはより高度な本も読みたいが、ひとまず基礎を固めたい、という人におすすめ。

[14] 難易度:中級レベル

金融工学入門 第2版

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆☆
  • 金融工学の定番テキスト
  • 全体を幅広く、かつ基礎から体系的に学びたい人におすすめ
  • 数式は理系学部1,2年程度(?)で、読みやすく書かれている
  • ポートフォリオ理論、デリバティブ評価、リスク尺度や信用リスク、と主なトピックが全てカバーされている

[15] 難易度:中級レベル

フィナンシャルエンジニアリング〔第9版〕 ―デリバティブ取引とリスク管理の総体系

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆☆
  • 金融工学の中でもデリバティブ評価の入門書としてグローバルスタンダードになっている、ジョンハル本の和訳版
  • クオンツに限らず、オプショントレーダーもみんな持っている
  • 非常に幅広い内容が網羅されており、広く浅く書かれているが、たいていのことは載っている
  • ひとつひとつの内容は浅いものの、うまくまとまっており素晴らしい
  • 特徴としては、具体的な数値例が豊富なのでイメージがつきやすい点
  • とにかく分厚い鈍器だが、初学者は辞書的に使えばいいだろう
  • 後半の章、金利モデルのあたりからは数式が結構出てくるので注意

[番外編] 難易度:初級レベル

以下は洋書だが、大変おすすめのものである。

The Front Office Manual: The Definitive Guide to Trading, Structuring and Sales (Global Financial Markets)

  • 説明のわかりやすさ:    ☆☆☆☆☆
  • カバーされている範囲の広さ:☆☆☆☆
  • 前提とする実務知識の少なさ:☆☆☆☆
  • 本文中の数式の少なさ:   ☆☆☆☆
  • 数式展開のわかりやすさ:  ☆☆☆☆
  • 金利、為替、株式、債券・クレジット、それぞれについてマーケットコンベンションがうまくまとまっている、貴重な本
  • 実務ですぐ使える内容を、これだけ幅広く網羅している入門書は他にないため、かなりおすすめ
  • 金利は、デイカウントコンベンション、イールドカーブのブートストラップ、通貨ベーシス、SABRモデル入門、など
  • 為替は、スワップポイント、デルタのコンベンション、Vanna-Volga法入門、など
  • 株式は、配当やレポレートの取り扱い、株式オプション、など
  • 債券・クレジットは、社債のクレジットスプレッド、アセットスワップ、CDS、など

その他

ファイナンス理論全史――儲けの法則と相場の本質

  • 金融工学が発展してきた背景を一般向けに説明した本
  • 教科書というより読み物であり、寝転がりながらでも読める
  • ポートフォリオ理論、デリバティブ評価、行動ファイナンス、AI運用などについて概要だけさらっと確認したい人向け

世界一やさしい金融工学の本です

  • 金融工学全般ではなくデリバティブについての最も簡単な入門書
  • マンガ有り、ストーリー仕立てで金融の素人でも読める
  • スワップ、オプション、VaRについて概要をなんとなく理解できる本

図解 いちばん面白いデリバティブ入門―数学ナシでわかるデリバティブ

  • デリバティブの仕組みを図解を交えて説明した本
  • 数式がないので、概要だけ知りたいという一般の方向け
  • 内容としてはデリバティブについて少し突っ込んだ内容もある
  • 図解による説明をながめて何となく理解したい、という人におすすめ

カラー図解でわかる金融工学「超」入門 投資のプロがやさしく教えるデリバティブ&リスク管理の考え方 (サイエンス・アイ新書)

  • カラフルな図解で一般向けにデリバティブを解説する入門書
  • 対話形式で読みやすい
  • 後半は数式も出てきて一般の初心者にとっては少し難易度が上がる

道具としての金融工学

  • 数式メインで説明する本
  • 理系の高校数学がわかる人で、ブラックショールズ式の導出・数式展開を理解したい人向け
  • 例題で手を動かしながら金融工学に入門したい理系出身者におすすめ

増補版 金融・証券のためのブラック・ショールズ微分方程式

  • ブラックショールズ式の導出を理解するには最も易しいと思われる本
  • 冒頭は高校レベルの数学から復習してくれる
  • 式変形が丁寧で挫折しにくい
  • 高校数学までならぎりぎりわかるレベルで、ブラックショールズ式の導出・式展開をまじめに学びたい人におすすめ

まとめ

だいたいの難易度順に並べているので、ご自身のレベルに合ったものを選択されたい。

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