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結論
- 個人投資家にとっては、ほとんど役に立たないといっていい
- 機関投資家にとっては、証券アナリスト(CMA)試験に出るような基本的内容は、一般常識として知っておく必要がある
金融工学と言っても様々な分野がある。
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メジャーな分野は以下の通り。これらについてそれぞれ投資の役に立つのか、順番に見ていく。
- ポートフォリオ理論
- デリバティブ価格付け
- アルゴリズムトレーディング
ポートフォリオ理論
ポートフォリオ理論は、個人投資家であっても、長期投資がメインであれば学んでおくと少しは役立つだろう。とはいっても、分散投資のメリットなど、非常に基本的なところだけを学んでおけば十分だと思われる。役に立つとは言っても、期待リターンを高められるという意味ではなく、リスクを低減するという意味である。
金融機関で働くプロの人達にとっては、会社や職種によらずポートフォリオ理論くらいは学んでおくといいかもしれない。特に、アセットマネジメント業界に入ると、この分野を専門的に深掘りしていくことになる。
デリバティブ価格付け
デリバティブ価格付けは、個人投資家のほとんどにとっては役に立たない、というか使う場面がない。個人投資家のうち、デリバティブを使うといっても先物がほとんどだろう。本格的にオプションをさわり始めると、デリバティブ価格付け理論の基本を学ぶ必要があるが、個人投資家でその領域に足を踏み入れる人はほとんどいないと思われる。オプションを用いたトレーディングを行う場合は、オプション評価の一般常識として、ブラックショールズモデルと各種グリークスを学んでおくといいだろう。
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金融機関で働くプロの人達にとっても、デリバティブ価格付け理論が本当に必要になる人はごくひと握りである。証券会社や銀行のディーリングルームで働く場合くらいだ。マーケット部門のデリバティブを扱う部署に配属された場合は、基本的なことは知っておかないと会話に入っていけないだろう。
全国の支店で営業マンをやっている人でも、デリバティブの基本知識が必要になることは結構あるだろうが、デリバティブ価格付けの「理論」までを学ぶ必要はないはずだ。
アルゴリズムトレーディング
アルゴリズムトレーディングは、個人投資家の場合、実際にアルゴリズムトレーディング(あるいはシステムトレーディングなどとも言う)を行う場合は役立つだろう。しかし個人投資家の多くはアルゴリズムトレーディングではなく、裁量トレーディング(自分の裁量で売買の意思決定を行う)または、インデックス積立投資などの長期投資だろうから、その場合は学ぶ必要がない。
金融機関で働くプロの人達にとっても、アルゴリズムトレーディングの知識が本当に必要になる人はごくひと握りである。その場合も、相場が上がるか下がるかの方向性を当てに行くというよりは、マーケットメイク戦略を考えるうえで参考にするくらいである。マーケットメイクでは相場が上がるか下がるかとは関係なく、ビッドとアスクの小さなスプレッドを積み上げることで収益をあげる。
証券会社や銀行のトレーダーであれば、自分がアルゴトレードではなく裁量トレードをやっていたとしても、マーケットの裏ではアルゴトレードが走っているわけなので、ある程度学べば自分のトレードにも少しは役立つかもしれない。
まとめ
- ほとんどの個人投資家にとっては役に立たない
- オプションを用いた裁量トレードや、システムトレードを行っているマニアックな個人投資家の場合は、デリバティブ評価やアルゴリズムトレードの基本を学んでおくと、ちょっとは役立つかもしれない
- 営業マンも含め、金融機関で働く人にとっては、ポートフォリオ理論の基本くらいは学んでおくと少しは役立つかもしれないが、必須の知識かというとそこまでではない
- 金融機関のディーリングルームで働くプロにとっては、一般常識としてひと通りの分野を概観しておき、自分の専門分野は深掘りしておくといいかもしれない
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