金融工学に関する資格はあるのか？

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簡単に解説

金融工学に関する資格は、少なくとも国内にはない。
が、関連する資格はあるので以下で紹介していく。

証券アナリスト（CMA）

日本の証券アナリスト協会がやっている民間資格で、一次試験と二次試験があり、いずれも証券分析、財務分析、経済の３科目。このうち証券分析は、確率・統計、ポートフォリオ理論、デリバティブ評価などの入門的内容が盛り込まれており、きちんと学べば金融工学の入門準備としてある程度使える。

しかしCMAを持っていれば金融工学の専門家として認められるかというと、全くそんなことはない。試験の難易度も、数式アレルギーだと厳しいが、合格率は比較的高い。

米国証券アナリスト（CFA）

米国のCFA協会がやっている民間資格で、試験範囲はだいたいCMAと同じような感じ。Level１からLevel３まである。内容はLevel３だけ少し毛色が異なるが、Level１とLevel２ではファイナンス理論について広く浅く学べるほか、確率・統計の計算問題などもあり、これらの試験範囲を学んだ後なら金融工学の専門書を読み進めやすいだろう。

しかしCMAと同様、CFAを持っているイコール金融工学の専門家、では全くないし、CFAはそもそも資産運用の専門家という位置づけである。試験の難易度は、英語ということもあり日本のCMAより難しい。

アクチュアリー

日本アクチュアリー会がやっている民間資格で、一次試験と二次試験がある。このうち、一次試験の科目「数学」は確率・統計に関する難しめの問題が出題されるので、数学の科目合格を持っていると、確率・統計の知識があることを示せる。他にも「損保数理」の科目は金融工学におけるクレジットリスクの分野と似ているところがある。

しかしアクチュアリーもまた、金融工学の専門家という位置づけではない。資格取得の難易度は非常に高いことで知られるが、アクチュアリーの正会員になればアクチュアリーとして転職しやすくなる、という話であり、金融工学と直接の関係はない。金融工学に関する業務というと、アクチュアリーよりもクオンツの方が近いが、アクチュアリー資格を持っていればクオンツとして就職・転職しやすいというわけではない。アクチュアリーとクオンツは全く別の職種だからである。

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統計検定

最近になって知名度が上がってきた民間資格で、確率・統計の基礎知識を身に付けられる。これは証券アナリストやアクチュアリーのような金融専門職向けではなく、幅広く一般の人向けに作られているというのもあり、金融工学の専門家（？）を目指す人であればおそらく１級のレベルまで学んでおかないと役に立たないと思われる。

統計検定１級を持っているとクオンツとして就職・転職しやすいかというと、それほど大きな効果はないと思われる。しかし若手であれば上手く面接で受け答えすることにより、数理的素養のアピールや、業務に必要な知識を積極的に自学自習できることのアピールにはなるかもしれない。

番外編：CQF

海外でいうと、Wilmottが関与しているCQF (The Certificate in Quantitative Finance)という資格があり、外人クオンツ見習いはCQFのカリキュラムを活用して勉強していたりする。内容はいわゆる金融工学そのものであり、ドンピシャで金融工学の資格といえばこれである。機械学習とデータサイエンスなどトレンドもおさえたカリキュラムになっている。国内での知名度は皆無だが、参考まで。

番外編：有名大学のハードサイエンスの学位

関連する資格をあれこれ書いてきたが、身もフタもない話をすると、金融工学の素養が求められる専門職として採用されるうえで、最重要の資格は学歴・学位である。ハードサイエンスというのはだいたい、数学・物理学・計算機科学などを指す。有名大学卒で、これらの分野で修士以上の学位を持っていることが、クオンツの書類選考突破に直結する。特にデリバティブクオンツやアルゴトレードクオンツの場合にその傾向が強い印象だ。

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