目次
はじめに
本記事では、管理人が過去にツイートした内容をもう少し深掘りしてみる。
クオンツのキャリア
— QDくん/金融工学x機械学習xPythonxC++ (@developer_quant) August 12, 2020
⑴アカデミアに戻る
⑵クオンツのまま転職
⑶トレーダーに転身
⑷データ関連のコンサルに転身
⑸クオンツチームのマネジメント
身の回りでは⑴と⑵が多い。
⑵は金融ドメインの機械学習エンジニアを含む
⑷はデータサイエンティストを含む
なお本人が最も楽しそうにしてるのは⑴
キャリアの選択肢
(1) アカデミアに戻る
管理人の身の回りで多いのがこれだ。
・退職D進(博士課程に進学)
・大学でポストが見つかったので退職
というパターン。
働きながら社会人大学院の博士課程に通っている人はけっこういる。そういう人はかなりの確率で、博士号取得後、大学でポストが見つかったら退職する。
アカデミックな理論を研究するのが好きな人、論文を書くのが好きな人、はこのパターンに落ち着くが、多くの場合、収入は下がることになるだろう。しかし、自分が本当にやりたいことを突き詰める人なわけなので、本人が最も楽しそうにしているのはこの、アカデミアに戻るパターンである。
(2) クオンツのまま転職
これも多い。
・セルサイドからバイサイドに行く人はたまにいるが、
・逆にバイサイドからセルサイドに行く人は見かけない。
セルサイドであれば、
・フロントのクオンツからミドルのクオンツに移る人は結構いるが、
・逆にミドルからフロントに移る人は見かけない。
そのほか、ミドルから内部監査部に移る人もいる。
ミドルのいわゆるモデルバリデーションクオンツは、独自ライブラリに新規ロジックを実装して数値検証をすることになるが、内部監査部だともう少し定性的な検証になるものと思われる。例えば、モデルのロジックに加えて、モデルの文書化や管理体制なども確認して、内部監査部としてのドキュメンテーションをする、という感じだろう。
最近では、プログラミングが好きな人は、金融ドメインの機械学習エンジニアに移る人もいる。
(3) トレーダーやクオンツFMに転身
セルサイドであれば、オプションやエキゾのトレーダーになる人は多い。ただしこれは若手に限られると思われ、長年クオンツをやってからトレーダーに移る人は見かけない。
バイサイドであれば、クオンツFM (Fund Manager) が使うモデルの調査開発をするクオンツと、クオンツFMの間で、人の移動もあるだろう。
(4) データ関連のコンサルに転身
これはいわゆるデータサイエンティストである。若手でたまにいる程度であまり見かけないパターンである。
クオンツから行くのであればデータサイエンティストよりも、機械学習エンジニアやアルゴリズムR&Dの方が多いと思われる。
(5) クオンツチームのマネジメント
これは転職せずに同じ会社でクオンツとしてキャリアを積んだ場合、自然と行き着く先である。マネジメントとは言ってもプレイングマネージャーであるケースが多い印象で、自ら手を動かしつつプロジェクト管理や部下の管理をする中間管理職である。したがって自分の仕事もある中で、組織内の政治に巻き込まれて上司と部下の間で板挟みになる、というよくあるパターンに陥ることが多い。マネジメントオンリーになるにはかなり出世しないといけないだろう。
(6) クオンツやトレーディング以外のチームに異動
これは日系金融に新卒で入り、その後転職しなかったケースである。
クオンツ業務と直接関係ない部署やチームに異動となることは、会社によっては発生頻度が高い。これは会社がクオンツ人材をどう位置付けているかに依存するものと思われる。
市場部門の企画やセールス、ミドルで市場リスク管理や信用リスク管理(リスク計測ロジックの調査開発などは行わず、ルーティーンワーク、規制対応、もろもろの社内の利害調整)、など多岐に渡る。
このパターンは証券よりも銀行でよくあるかもしれない。日系金融でも中途採用で入った場合はこのケースはほぼないと思われるが、新卒採用組の場合は放っておくとこうなる、という感じだ。
おわりに
クオンツのキャリアとしてはだいたい以下の6通り。
- アカデミアに戻る
- クオンツまたは機械学習エンジニアとして転職
- トレーダーやクオンツFMに転身
- データサイエンティストに転職
- クオンツチームのマネジメント
- 関係ないチームに異動
どれがいいかは個々人の好みによるので何とも言えないが、少なくとも、
・プログラミング
・確率統計などの数学
・金融機関での実務知識・経験
の3つを身に付けていれば、何かしらの職にはありつけると思われる。
プラスアルファで英語力や海外経験があれば申し分ないだろう。