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はじめに
学生向け記事シリーズ。
管理人と同じ研究室や分野が近い研究室のメンバーは、クオンツよりもアクチュアリーになる人が多かったので、同期のアクチュアリーから聞いた話を総合して、クオンツとアクチュアリーの違いについて書いてみる。
注意として、管理人はアクチュアリーではないため、アクチュアリー業務の詳細については専門家ではない点、ご容赦頂きたい。
本記事の続きは以下の記事に書いているので、こちらも合わせてご覧頂きたい。
ざっくりとした違いは
まず、クオンツとアクチュアリーの違いはざっくり以下の通り。
クオンツ
- 就活時は資格不要、入社後も資格不要
- 業務で必要な数学はかなり難しい
- 業務で必要なプログラミングは高度
- 業務に関連する制度・会計・法律を学ぶ必要なし
- 学生時の専攻は数学、物理、情報系が多く、経済などの文系は少ない
アクチュアリー
- 就活時は資格不要、入社後は資格取得必須
- 業務で必要な数学はあまり難しくない
- 業務でプログラミングはあまり必要ない
- 業務に関連する制度・会計・法律を学ぶ必要あり
- 学生時の専攻は数学が多いが、経済などの文系も結構いる
クオンツの種類
以前の記事で、クオンツには大きく分けて4種類あることを書いた。
(1)デリバティブクオンツ
(2)リスククオンツ
(3)Statistical Arbitrageクオンツ(アルゴトレードクオンツ)
(4)バイサイドのクオンツ
必要な数学は微積分、線形代数、確率統計だが、各クオンツの種類によって、それぞれより専門的な数学が必要になる。デリバティブクオンツは確率解析、リスククオンツは時系列分析や、極値理論などの数理統計、アルゴトレードクオンツやバイサイドクオンツは近年特に機械学習の応用が進んでいる。
プログラミングもかなり高度なスキルが必要になる。デリバティブクオンツはC++でPDEを解いたりシミュレーションを回したりする。その他のクオンツもRやPythonで統計分析するのが必須となる。
アクチュアリーの種類
クオンツと同様に、アクチュアリーにもいくつか種類があり、以下の3種類に分かれる。
(1)生保アクチュアリー
(2)損保アクチュアリー
(3)年金アクチュアリー
クオンツとの違いを把握するにあたり、まずは上記3種類の違いを押さえておいた方がいいだろう。
生保アクチュアリー
(1)生保アクチュアリーは最も伝統があり、社内での地位が最も確立しているアクといえるだろう。会社の資格勉強サポート体制もしっかりしており、資格手当もけっこう出る。ということで、アクチュアリーといえば生保アクチュアリーであろう。
生保数理は独特の記号を使うのでとっつきにくいが、損保数理に比べると数学的に高度ではないため、数学の力を生かしたい人にとっては物足りないかもしれない。
生保特有のパラメーターには死亡率があるが、人間が何歳で何%死ぬかについては、時が経ってもガラッと変わるものではないため、分析手法もあまり変わらないだろう。一方で、生保は長期の契約であり金利の影響が大きい。生保アクチュアリーはイールドカーブなど金利についての深い理解が必須であり、資産サイドと負債サイドでDurationをマッチさせるなど、ALMの理解も必須となる。
プログラミングについては、生保アクが自前で何かを実装するようには思えないが、簡単な分析ツールくらいは作るかもしれない。
損保アクチュアリー
(2)損保アクチュアリーは生保に比べるとマイナーだが、損保数理の内容はポアソン過程が出てきたりして金融工学っぽい感じになっている。数学的には生保や年金よりも損保の方がおもしろいだろう。マリンなど会社によっては研究の成果を積極的に学会で発表しているところもある。
注意として、損保のアクチュアリーとして入社してもグループ子会社の生保に配属されることもあり、その場合は結局生保アクチュアリーになってしまう。
商品開発においてシミュレーションを自前実装するなど、生保や年金に比べるとプログラミングをする機会も比較的ありそうである。
年金アクチュアリー
(3)年金アクチュアリーは信託銀行などにいるが、内容としては基本的にキャッシュフローを割り引くだけであり、数学的には生保アクや損保アクと比べてシンプルである。
一方で、年金制度は会社ごとに異なり、ポイント制などでけっこうややこしい制度も多いようだ。割り引くイールドカーブは国債や社債からブートストラップして作るので債券市場の理解は必要不可欠だろう。
年金アクがその他アクと違うところは、年金制度をどう変えたらいいか助言するなど、コンサル業務をやっていたり、コンサル会社に転職する人が多いところである。よってコミュニケーション能力が最も求められる種類のアクチュアリーである。
プログラミングについては、退職給付債務などを計算するパッケージシステムが既に確立しているので、ほとんど業務で使うことはないだろう。
クオンツとアクチュアリーの違い
上記を踏まえて、クオンツと各アクチュアリーの違いについて書いてみる。
クオンツと生保アクチュアリーの違い
生保アクなら地道に資格取得すれば待遇が改善するが、クオンツは資格を取っても待遇が変わることはない、という点だ。
アクチュアリー試験については既にけっこう情報が出回っており、何をどのように学ぶべきかは、すでに確立されている。一方で、クオンツは何をどのように学ぶべきかについて、配属後に自分で調べて考える必要がある。
クオンツと損保アクチュアリーの違い
損保アクは業務に加えて資格の勉強をしないといけないが、クオンツは業務と関係ない勉強は必須ではない、という点だ。
クオンツも自分が知らない内容を自主的に学ぶ必要はあるが、資格試験用の勉強をプラスアルファでする必要はない。また、不確実性のモデリングやプログラミングのスキルをつけたいのであれば、アクチュアリーではなくクオンツに進んだ方が良いだろう。
クオンツと年金アクチュアリーの違い
年金アクは数学やプログラミングよりコミュ力が重要だが、クオンツは逆である、という点だ。
クオンツもトレーダーなど非クオンツにわかりやすく説明する力は必要不可欠だが、年金アクのように顧客のお悩み相談など、顧客との折衝やコミュ力が生命線となる業務をすることは、ほぼないといっていい。
まとめ
以上をざっくりとまとめると、以下のような感じだろうか。
- 資格取得による待遇改善や社会的地位向上などに魅力を感じるならアクチュアリー(特に生保アクチュアリー)
- アクチュアリーを軸にしつつも金融工学的なことにも興味があるなら損保アクチュアリー
- 専門知識などのハードスキルに加えて、顧客とのコミュニケーションといったソフトスキルも磨いて、コンサルへの転職などキャリアの選択肢を広げたいなら年金アクチュアリー
- プログラミング能力を伸ばしたい場合や、より発展的な数学を使いたい場合、あるいは、金融市場に興味があるなら、クオンツ
アクチュアリーもクオンツも狭き門であることは同じだが、以上の違いを踏まえて職業選択してもらうと良いかもしれない。
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