目次
こちらもおすすめ
QuantLib-Pythonチュートリアル(スワップイールドカーブ編その1)をリリースしました。 | Quant College
QuantLib-Pythonチュートリアル(導入編)をリリースしました。 | Quant College
計算演習 確率解析(伊藤の公式編)をリリースしました。 | Quant College
計算演習 確率解析(ブラウン運動編その1)をリリースしました。 | Quant College
【随時更新】クオンツ就活の筆記・面接試験対策でおすすめの本:6冊 | Quant College
金融工学関連でおすすめの本:まとめ(目次) | Quant College
【大幅改定】LIBOR廃止とRFR移行の体系的まとめ(前編) | Quant College
新作note『CVA入門』をリリースしました。 | Quant College
【初心者向け】CVAモデルの体系的まとめ | Quant College
【感想あり】おすすめのUdemy動画講座:機械学習編【随時更新】 | Quant College
【感想あり】おすすめのUdemy動画講座:機械学習・データサイエンスに必要な数学とPythonの入門編【随時更新】 | Quant College
はじめに
クオンツの年収は他の金融専門職と同様、以下のような軸で変わってくる。
- 役職・職階
- 日系か外資系か
- 特に日系の場合、新卒採用か中途採用か
- 特に外資系の場合、フロント部署かミドル部署か
- セルサイドかバイサイドか
- どの業界か( 証券、銀行、信託、生保、損保、アセマネ、システムベンダー、コンサルなど )
関連記事
アクチュアリーと比較している記事はこちら。
クオンツとアクチュアリーの違い:就職難易度や年収は? | Quant College
日系の場合
新卒採用の場合
もちろん業界、会社、景気動向、残業時間などによって変わってくるが、日系は30歳前後で1,000万円に到達する、というイメージでいいだろう。その後は昇格するか次第、ということになる。
大手金融であれば、30歳時点で到達していないケースの方が少ないかもしれない。大手証券であれば、景気や株価の動向にも左右されるボーナス次第だが、30歳までに1,000万円行くことは珍しくない。特に20代だと証券より銀行のほうが給料が安く抑えられている印象があり、銀行だと大手でも20代で1,000万円はかなり残業しないと厳しいだろう。
日系は職種ごとに年収テーブルが異なるということは、基本的にない。つまりクオンツだから同期より給料が高いとか、同期より給料が低い、などということはない。クオンツだろうが営業だろうが関係なく、「総合職」はみんな同じというわけだ。
ただし例外として、証券会社などでは、特殊技能が必要な職種では上乗せで給料を払う、というケースもある。クオンツもそのような職種に指定されている場合は、特殊技能に対する手当のような形で、追加で給料がもらえる場合がある。これは生命保険会社などにおけるアクチュアリーの資格手当のようなものだろう。しかしいずれにせよ日系では職種はほとんど関係なく、同年代での給与格差がとにかく少ない。
上記のような例外を除いて、職種ではなく職階ごとに給料が決まっている。日系だと横並びで昇進つまり職階が上がっていくことが多く、新卒であれば入社年次で給料が決まってしまう。年上の人は給料が高く、年下の人は低い、というだけである。
よって日系のクオンツは会社の給与テーブルに沿った給料になる。クオンツはそもそも大手金融機関にしかいないので、大手日系金融の総合職の年収と同じになる。
中途採用の場合
中途採用の場合は完全にケースバイケースとなる。
採用される際にどの職階で採用されるか、によって給料が決まる。このとき、残念ながら前職の給料が参考にされ、それプラスアルファ、として決まることが多いが、経験や実績によってはプラスアルファが大きくなる場合もある。
上記は新卒採用と同じ給与テーブルに乗せられる場合の話だが、会社によっては新卒採用と中途採用で別の給与テーブルになっていることもある。プロ職というような名前で、成果主義の年俸制になっている(契約更改時に給与交渉)。同じ中途採用でも、新卒採用と同じ給与テーブルに乗せられる場合もあれば、プロ職として採用される場合もあり、そのどちらにするかを自分で選べることもある。
よって、以上のことから、傾向としては、同じ年齢でも新卒採用より中途採用の方が待遇が良くなる可能性がある。
業界ごとの違い
大手日系金融は総合商社に比べると見劣りするが、他の業界に比べてかなり恵まれている。肌感覚としては、
損保・証券>生保>信託>銀行
という感じだろうか。当然ながら同じ業界内では大手の方が給料は高く、特にマリン(東京海上)と野村證券は高給。証券はボーナスがマーケット環境によってかなり変わってくるので一概に言えない。30歳で1,000万円に到達しないケースがあるのは信託と銀行あたりだろうか。残業時間にもよるだろうが、銀行はメガでも32歳~34歳くらいになるまで1,000万円行かない、という話をよく聞く。
銀行・証券
クオンツが多くいるのは証券と銀行であり、証券ならかなりの高給、銀行の場合は同じ金融業界内では恵まれていないが、他の業界と比べるとかなり高給、といえるだろう。銀行だと三菱UFJ、三井住友、みずほがいずれもコース別採用をやっている。ただし三井住友はクオンツコースでもなぜか、最初は営業店でOJTをやらされるらしい。
信託銀行
信託銀行には2種類のクオンツがいる。デリバティブクオンツとクオンツファンドマネージャーである。
信託銀行も銀行ほどではないがデリバティブやそれを組み込んだ商品を販売しているので、デリバティブクオンツが非常に少数だが在籍しているようだ。しかし自前開発ではなくパッケージシステムを使うことになるだろう。
クオンツファンドマネージャーについてはおそらくパッシブ運用に関するポートフォリオ最適化の仕事になるだろう。
信託銀行の待遇は銀行とほぼ同じか、それより若干高い程度だろう。傾向としては生保より信託の方が若干低いような印象を持っている。
生保・損保
保険会社にクオンツはほとんどいないが、信託銀行と同様、
- ポートフォリオ最適化関連の仕事
- 変額年金保険の商品開発だと、デリバティブクオンツと似た仕事
になる。実際、
- 第一生命ではアクチュアリーとは区別してクオンツ採用をやっているはず
- マリン(東京海上)はアクチュアリー・クオンツコースというような形で採用をやっているはず
損保でクオンツ系の仕事となると、資産サイドのアセットアロケーションやALMなどか、商品開発だろう。損保の商品開発はオペレーショナルリスク管理と似たような話になると思われる。つまり頻度分布と損失額分布を仮定してリスク量を求める、というような感じだ。
保険会社の待遇は傾向として銀行や信託よりも良く、ボーナスの変動は証券よりも穏やかなので、おいしい高給業界といえるだろう。生保よりも損保の方が給料が良いようだ。
アセットマネジメント
アセマネはよく知らないが、まったりしているわりにかなり高給であると聞く。某アセマネでクオンツインターンをやっていた際に聞いた話では、たいして偉くもないポジションの人であっても確定申告をしている、とのことである。つまり2000万円以上の収入がある平社員も多いということだろう。
当然ながらマーケット環境や職種にもよるだろうが、証券と同じかそれ以上に稼げる場合も多いようだ。 アセマネでもおそらく、ミドル部署で調査開発をしているクオンツよりは、クオンツファンドマネージャーとしてフロント部署で運用に携わるクオンツの方がボーナスが多いと思われる。
外資系の場合
外資系は部署やチームによっても異なるが、証券会社のフロント部署にいるデスククオンツなら、1,000万円など入社二年目であっさり超えることもあるだろう。とにかくお金の近くにいる仕事であるほどボーナスが多く、年収が高くなる。
デスククオンツやアルゴトレードクオンツ>その他フロントクオンツ>ミドルクオンツ
となる。ミドル部署はフロント部署に比べボーナスはかなり低いが、日系に比べると特に若者の基本給が高い。20代の早い段階で1,000万円に到達するだろう。
東京の新卒採用でクオンツを採っているケースは今やほとんどないと思われる。昔はJPMなどがクオンツコースで新卒採用をやっていたが、東京のクオンツチームが閉鎖になったりして、なくなってしまったようだ。セールス&トレーディングの部署で採用されてもセールス、ストラクチャラー、トレーダーのどれかになるだろう。
一方、中途採用であれば、東京でもクオンツ採用は一部で残っている。フロントよりはミドルのModel Validation Groupのポジションをよく見かける。
年収2000万円、年収3000万円は可能か?
日系の場合、達成はかなり困難だろう。
2000万円は、
- 役員手前くらいの役職まで昇進する
- デスククオンツやアルゴトレードクオンツでトレーディング収益に大きく貢献する
などで可能である。
しかし3000万円を日系で達成するのは通常ほぼ不可能だろう。
外資の場合、フロント部署なら2000万円の達成は十分可能だろう。ミドル部署でも順調に昇進していけば30代後半以降で2000万円に届くことは普通にあるだろう。3000万円ともなると難易度が高いが、仮にヘッジファンドで多額の収益に貢献すれば報酬は青天井だから、3000万円も可能性はあるといえる。
しかし年収2000万円や3000万円を本気で目指すなら、クオンツではなくトレーダーやファンドマネージャーになったほうが現実的に達成可能である。いずれにせよこれらの水準の年収を目指すには日系ではなく外資に入る必要がある。日系であれば、2000万円に到達するには時間をかけて昇進を重ねていくか、景気の良い時期に高めのボーナスをもらうしかないだろう。
まとめ
クオンツの年収については以下のようにまとめられるだろう。
- 高給だが他の金融専門職と同様の扱いであり、クオンツだからという理由で高給になることはほとんどない
- (当たり前だが)日系より外資系の方が高い
- 新卒採用より中途採用で入った人の方が高くなりがち
- ミドル部署よりフロント部署、お金の流れの上流近くで働いているクオンツほど、高くなる
- セルサイドもバイサイドも高給だが、普段のまったり具合やボーナスの変動などを考慮すると、バイサイドの方がコスパが良いと思われる
- 業界としては、 証券・アセマネ・損保の待遇が良く、以下、>生保>信託>銀行という感じの順番だろう
あわせて読みたい
こちらもおすすめ
QuantLib-Pythonチュートリアル(スワップイールドカーブ編その1)をリリースしました。 | Quant College
QuantLib-Pythonチュートリアル(導入編)をリリースしました。 | Quant College
計算演習 確率解析(伊藤の公式編)をリリースしました。 | Quant College
計算演習 確率解析(ブラウン運動編その1)をリリースしました。 | Quant College
【随時更新】クオンツ就活の筆記・面接試験対策でおすすめの本:6冊 | Quant College
金融工学関連でおすすめの本:まとめ(目次) | Quant College
【大幅改定】LIBOR廃止とRFR移行の体系的まとめ(前編) | Quant College
新作note『CVA入門』をリリースしました。 | Quant College
【初心者向け】CVAモデルの体系的まとめ | Quant College
【感想あり】おすすめのUdemy動画講座:機械学習編【随時更新】 | Quant College
【感想あり】おすすめのUdemy動画講座:機械学習・データサイエンスに必要な数学とPythonの入門編【随時更新】 | Quant College