クオンツ業務で英語力はどれくらい必要か?

これもよくある質問なのだが、回答は以下の通り。

・リーディングは必須(参照する文献はほぼ全て英語なので)
・ライティングと会話がどれくらい必要かは、会社やチームによって異なる


リーディングについては説明不要だろう。以下ではライティングと会話について見ていく。

まず前提として、クオンツは社内向けの仕事がほとんどなので、顧客にNon-Japaneseが多いかどうかというより、会社やチームにNon-Japaneseが多いかどうか、が問題となる。正確には、日本語があまり話せないNon-Japaneseが多いかどうか、という点が重要だ。というのも、同僚が例えば以下のようなパターンだと、日本語でコミュニケーションが取れてしまうからである。

・日本の大学に留学してそのまま日本で就職した人
・奥さんが日本人で日本在住歴が長く、日常会話レベルは問題ない人

また、少し余談だが、「ワタシニホンゴワカリマセン」キャラを確立しているNon-Japaneseであっても、本当は、「日本語ができるとバレると、社内調整など面倒くさいことに巻き込まれるから、わざと日本語できないアピールをしている」人もいたりする。

クオンツの英語の使用頻度は、モデルの開発・検証を海外拠点とどの程度連携しているかによって変わってくる。
ざっくり以下のような場合分けになるだろう。
(1)海外拠点と連携してモデルを開発・検証
(2)海外拠点が作ったモデルを国内で検証
(3)海外拠点が作って検証したモデルを国内で導入
(4)海外拠点が作ったモデルを参考にしつつ、国内で独自にモデルを開発
(5)海外拠点と連携しておらず、国内で独自にモデルを開発

イメージとしては、(1)から(5)に行くにしたがって、英語を使う頻度が下がる。海外拠点と連携するとなると、以下が必須となる。
・メールやチャットでのライティング
・電話、テレカン、TV会議での会話

では(1)から(5)ではどのケースが多いのか、というのも一概には言えないだろう。

まず外資と日系で大きく変わってきて、外資ならドキュメンテーションが必然的に英語になる。しかしながら、今となっては東京に専門のクオンツ部隊を抱えている外資はそう多くないだろう。東京のクオンツチームが、グローバルのQuantitave Analytics Group や Model Validation Groupに所属しているケースはある。その場合は海外クオンツと日常的に連携することになるだろう。

一方で、クオンツとして雇われたとしても、以下のような場合もあり得る。

・デスククオンツという名の、日本人トレーダーの下請け(ツール開発等)
・モデルやライブラリは海外からの借り物で、それを日本で導入するだけ

このような場合、海外とそれほど込み入ったやり取りをすることは少ないので、 東京の同僚と社内公用語として英語でコミュニケーションがとれれば、何とかなってしまう場合もある(そのレベルに達するまでが大変だと言う人も多いのだが)。

日系についても、(1)から(5)の全てのケースがあり得る。(5)以外はないだろうと思うかもしれないが、実際は日系の方が海外クオンツと密に連携している場合もある。クオンツ業務の主要部分(モデルの調査・開発、ライブラリへの実装)は日本語が不要なので海外クオンツ主導で行い、そのサポートや検証、モデル承認プロセスは東京本社で行う、というケースは結構あるようだ。

まとめると以下の通り。

・リーディングは必須だが、ライティングや会話が必要な頻度は会社やチームによって変わる
・海外クオンツとどれくらい密に連携をとっているかによって変わる
・必ずしも日系だからといって、海外との連携はほとんどなく英会話不要、というわけではないので注意
・チームメンバーにnon-Japaneseがいたとしても、日本語が話せる場合も結構あるので注意

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