金融工学と数理ファイナンスの違い

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簡単に解説

ざっくり言うと、金融工学は工学、数理ファイナンスは数学である。
金融工学の中の一分野として数理ファイナンスが含まれる、という考え方もあるが、基本的に金融工学は工学的アプローチ、数理ファイナンスは数学的アプローチである。

金融工学は現実の具体的な問題を数値計算や実証分析によって解決していく分野である。一方、数理ファイナンスは現実を非常に抽象化した問題設定で一般的な定理を証明していく分野である。

工学的アプローチというのは、実社会で解決したい問題が先にあって、それを解決する方法を具体的に探っていくものだ。一方、数学的アプローチは、実社会での応用は二の次であり、どこまで一般的な問題設定で定理が成り立つかを突き詰めていくものである。

金融工学では実際の市場データを用いて数値実験を行い、モデルの有用性を調べることは非常に重要な手順の一つだが、数理ファイナンスでは、データを用いた分析はおまけ程度のものでありあまり興味がない。

しかし現実に応用されている金融工学の定理、公式、考え方はだいたい、その理論的な拠り所として数理ファイナンスでの成果を用いているケースが多い。このため、実社会で直接応用することは必ずしも念頭に置いていない数理ファイナンスだが、結果的には現実の問題解決に大いに役立っているといえる。

簡単にまとめると以下のようになる。