通貨ベーシスを用いたイールドカーブ生成

イールドカーブについては、以下の2つの処理が全く別物であるということが重要。

① マーケットレートからイールドカーブを生成

② ①で生成したイールドカーブを用いて取引を評価

①では、いま評価しようとしている商品の取引条件は関係なく、マーケットレートのクォートコンベンションにしたがってカーブを生成しなければならない。

例えば、②で評価する対象の取引がJPY担保かUSD担保かとは関係なく、通貨ベーシスのクォートコンベンションはUSD担保であるため、市場の通貨ベーシス計算の前提となっているパー(=時価ゼロ)の通貨ベーシススワップが、USD担保取引であると仮定してカーブを生成する必要がある。

上記の①と②がごちゃごちゃになっている人が少なからず存在する。

①はいわゆる(グローバル)キャリブレーションであり、②はプライシングである。

JPY担保のUSD/JPY通貨スワップ取引の評価にあたっては、USDサイドのディスカウントにJPY担保USD OISディスカウントカーブが必要となるが、JPY担保の通貨ベーシスは市場から取得できないため、何らかの仮定を置く必要がある。

一方、USD担保JPY OISディスカウントカーブは市場の通貨ベーシスから直接、生成することができる。

これは、市場の通貨ベーシススワップがUSD担保前提だからである。

まず、USD担保JPY OISディスカウントカーブについては、市場の通貨ベーシスを用いて、以下の関係から逆算する。

(USD LIBOR3Mの現在価値)=(JPY LIBOR3Mの現在価値)+(通貨ベーシスの現在価値)

ここで、USDサイドの割引にはUSD担保USD OISディスカウントカーブを、JPYサイドの割引にはUSD担保JPY OISディスカウントカーブを用いる。USD担保USD OISディスカウントカーブは市場のUSD OISのみから生成できるため、JPYサイドのディスカウントカーブについて逆算することができる。

次に、JPY担保のUSD OISディスカウントカーブをどのように生成するか、ということが問題となる。

ここで置く仮定としては、次のものが一般的である。

(USD担保のフォワード為替レート)=(JPY担保のフォワード為替レート)

これはつまり、

Spot FX * (USD担保USD DF) / (USD担保JPY DF) = Spot FX * (JPY担保USD DF) / (JPY担保JPY DF)

ということであり、USD担保USD DFはUSD OISから、USD担保JPY DFは通貨ベーシスから、そして、JPY担保JPY DFはJPY OISから生成できるため、最後に残った右辺のJPY担保USD DFについて、逆算することができる。

もちろん、上記の式は、DFがSpotベース、つまり、Spot DateのDFがぴったり1であり、TodayからSpot Dateまでの割引は考慮しない場合である。DFがTodayベースである場合は、Spot FXをToday FX(当日受け渡し為替レート)で置き換えればよい。

上記の仮定を置くことで理論的に都合が良くなるのだが、詳細は割愛する。

この方法は既に外資系証券や外資系システムベンダー、日系証券・銀行でも採用されており、一般的な市場慣行となっている。

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